映画「ローマ法王になる日まで」

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 2013年第226代ローマ法王フランシスコの半生を描いた作品。

 彼は、イエズス会の神父で アメリカ大陸から初めてローマ法王に選出されたことで

大きく報道されたことは記憶に新しいことではないだろうか。

 近頃では現アメリカのトランプ大統領が、就任直後に

メキシコとの国境に塀を作らせるとの発言に対しても批判をしただけでなく

世界中の経済、社会の様々な問題に対しても声を上げている。

 おそらくこんな法王は、今まで存在していなかったのではないだろうか。

 

 そんな認識しかなかったので、この映画に描かれていた彼の故郷アルゼンチンへ

抱いていた想いは裏切られた。

 以前若い時代のチェ・ゲバラの南米旅行記を描いた

モーターサイクル・ダイアリーズ」にも登場したブエノスアイレス

 この映画は、時代がかなり昔にさかのぼるので異なるのは当たり前だが

スペイン統治時代の歴史的な建物とタンゴの情熱的な調べとダンス・・・

 いつか旅をしてみたいと思っていた国、アルゼンチン・・・・

 

 大学で化学を勉強していたホルヘ(フランチェスコ法王)が

イエズス会に入り神父になることを決意した頃、

アルゼンチンは、ビデラ軍事政権の時代だった。

 

 独裁政権は、暴力的に政権を奪ってきたが故、

いつ自分に牙が向けられるかという不安が付きまとうのだろうが、

御多分にもれず前政権につながる人間の抹殺、

次に民衆の立場に立つ良心的な役人を職場から放逐する。

 聖職者も例外ではない。

 貧しい人々の中で救いを求めている人に寄り添うだけで、

武装勢力をかばっているのではないかと殺されていく。

 

 カフェやレストランでしゃべる時も、まわりの目を気にしなくてはならないのは

もちろん、職場にも密告するものが出現、市民の間にもスパイが入り込む。

 たくさんの人が職を奪われ、拷問され、殺されていった。

 

 そんな中、ホルヘは、政権にすり寄る聖職者と一線を画し

あくまで弱者を擁護する立場を貫いた人だった。

 特に感動的だったのは、立ち退きを迫られた貧民街の場面である。

 

 コンクラーベで選出された時のフランチェスコ、その脳裏を覗くことは

できないが、大げさに喜ぶわけでもなくこれまでを振り返りながら

この瞬間を静かにかみしめていた姿が印象的だった。

 こんな困難な時代を生きてきたからこそ、今の法王の言動があるのだろう。

 

 彼の激動の半生を象徴するようなタンゴを奏でる映画音楽も心惹かれる。

 

 映画で描かれた内容は、事実に基づいて制作されたものなので

フィクションとは異なる。

 因みにこの映画は、イタリア映画でダニエレ・リケッティ監督作品である。

 

 軍事政権が荒れ狂ったのは、1976年から1983年というから

今から30年くらい前にこんなに非人道的な政権が存在していたことにも驚いたが

考えてみれば、隣の国チリも同じころ軍事政権でたくさんの犠牲者を出していた。

 (文学座「谷間の女たち」で描かれていた)

 

久しぶりの演劇鑑賞

 

…ンターへ 劇団昴の「谷間の女たち」を鑑賞に行って参りました。 東横線が渋谷から東京メトロ副都心線東武東上線に繋がっているので、 横浜から池袋まで乗り換えなくても行けることが今回分かりました。 JRの湘南新宿ラインで行くよりもお安く行けるのです。 東池袋といっても、池袋から徒歩10分らしいですが、 有楽町線に乗り換え、一駅乗って東池袋の駅までやってきました。 近頃本当にお上りさんになってしまっています。 地下からはい出てくると、高層ビルの真下に出ます。 見上げると、はるかな高…

 

 いずれも、新自由主義をかかげている国が影のように背後にいることは

予想がつくような気がする。

 

 折しも、共謀罪法案が強行採決され、来月から施行されるという。

 こんな時代が来ないとはだれが断言できるだろうか

 

 (横浜では、今週の金曜日まで、ジャック&ベティで上映中)

 

 

奄美大島 その5

 5日目は、夕方のフライトだったので、近場を回ったりお土産を買いに行ったりと

まったりとした時間を過ごした。

 午前中行ったのは、土浜海岸。

 奄美では、どの海岸も風光明美だが、この海岸もその一つ。

 全体が俯瞰できるような写真が撮れたらもっとその良さが伝わるのであろうが

残念ながらそれも叶わず、向かって左側と右側、それに真正面の海の写真を並べた。

 

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 海のようすといっても、この日は新月から1日目の日ですごく潮が引いていて

辺り一面潮だまりだらけだった。

 海岸へ出る手前の細い道に車がすでに2台停まっていた。

それも軽自動車ばかり。(奄美で走っている車は、軽自動車が圧倒的に多い。)

 

 だれもいないように見えるが、何人か潮だまりを歩いている人がいる。

 潮だまりには魚や貝が潜んでいるらしくどうも貝を探しに来ているようだ。

 私たちは、膝をいためた人もいるし、濡れることを覚悟してきていないので

残念ながら貝をみつけることはできなかった。

 貝より人間の方が多いのじゃないかと思うほど人がわんさかいるところでしか

潮干狩りをやったことがない人間から見ると

何でこんなに人がいないのかと不思議に思うくらいの潮干狩りだ。

 

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 人間がわんさかいない代わりにわんさか咲いていたのは、このノアサガオ

 車の通る道の脇にも咲いている野生の朝顔だ。

 花屋さんで売っている琉球朝顔と姿かたちはよく似ている。

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 街の八百屋さんで、半信半疑で買った「中間バナナ」。

 島バナナは、美味しいと聞いていたがもう一回り小さくて、値段は700円くらい。

 ところがすぐそばにおいてあったこのバナナ、これで100円。

 店の人に 

「中間バナナって美味しいの?」

と聞くと、

「青くてもやわらかくなれば食べられるし、美味しいですよ。」

 との返事。

ちょっと重くなるけれど、試しに買ってきたものだ。

 うちへ帰って、2日ほどしたところ、1本黄色くなってきた。

 さっそく食べてみると、ふだん食べているバナナより風味というか香りがあって

とても気に入った。

 近頃とんと目にしなくなった台湾バナナに近い感じだ。

 普通のバナナと島バナナの中間位の大きさだから、「中間バナナ」

という名前が付いたのだそうだ。

 もっとたくさん買ってくればよかったと思ったものの一つだ。

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 次は、島ラッキョウ。

 道沿いにあった民家で地域の農家さんの作ったものを売っていた。

 結構あって、一袋200円。

 うちへ帰った翌日、皮をきれいにして軽く塩で漬けて一晩冷蔵庫に置いたもの。

 こうやってかつお節をかけて食べるシンプルな食べ方もいいし、豚肉などと

いっしょに炒めても美味しい。 

 

 写真を撮らなかったが、八百屋さんで売っていたパパイヤの漬物美味しかった。

 甘味と辛みのバランスがとてもよくパリパリと歯ごたえもいい。

 自炊だったので、八百屋さんで量り売りのようなのを買ってきたが、

後を引く感じですぐになくなってしまった。

 もう奄美では、家の庭にパパイヤが実っている。

 奄美では、青いパパイヤは、普通の食材だ。

 しかも栄養価も非常に高いと聞く。

 

 後は、黒糖。

 ちょっと甘いものが欲しい時に、お茶うけになる。

 甘味はしつっこくなく、あっさりしている。

 調子に乗って食べると危険だが、ミネラル分が多く含まれているので

やたらに甘いお菓子を食べるよりずっと罪がないはず。

 

 

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 毎日見えていたが、ロッジの庭に咲いていたシマアザミ。

 つぼみの時は、花の先きがほんのりピンクで、開いてくると白くなる。

 その庭の「シマアザミ」に見送られてロッジを後にする。

 午後3時頃に空港へと出発。

 

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 帰りは、往きよりも30分ほど早い。

 奄美を遅れて出発した飛行機だったが、予定通り成田へ着陸予定。

 もうまもなくと思われる頃、飛行機の窓から

夕焼けに照らされた富士山がひょこっと見えた。

 どこからでも富士山はよく見えるものだと感心する。

 黒い手の先のようなシルエットは、房総半島の’突端ではないだろうか。

 飛行機は、無事成田へ到着しこの旅も終わり、そしてブログも終わり。

 

 

奄美大島 その4

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 毎朝、目覚まし時計のように明け方になると

「ピロンピロンピロン」と囀る鳥がいた。

 アカショウビンかな と思いながら、3日目の朝外に出ると

裏側の電線に赤い鳥が停まっている。

 (やっぱりアカショウビンだ!)

 初めて見るアカショウビン

 森の中にしかいないと思っていたので本当にびっくり。

 もっとちゃんと撮りたかったが、気配を感じたらしく、逃げ去ってしまった。

 先日東京湾野鳥公園に行った際、レンジャーさんにお聞きしたところ

奄美にいるアカショウビンは、「琉球アカショウビン」だということがわかった。

 琉球アカショウビンは、背中の朱色の羽の上がほんのり紫がかっている。

 アカショウビンは、繁殖のために日本に渡ってくる夏鳥だ。

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 この辺りにたくさんいたのは、イソヒヨドリ

 普通のヒヨドリと違って、羽の色が青っぽかったり、胸の辺りが赤っぽかったり

色鮮やか。

 毎朝庭にやって来ては、虫や幼虫をみつけて嘴にくわえて飛んでいく。

 イソヒヨドリも子育て中らしい。

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 4日目は、名瀬市大島紬織物協同組合へ行って、実際に織っているいるところを

見させてもらった。

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 大島紬は、デザインから出来上がるまで、

30の工程を経て半年から1年もかけて作られるものだそうだ。

 DVDを見て説明を聞いても、私の想像力がおいつかない。

とにかく途方もなく手のかかる織物だということしか私には、理解ができなかった。

 

 この方の織っているものは、かなり繊細な模様が入っているので

一旦織った後、たての糸と、横の糸を道具を用いてきちんと合わせていく作業をする。

 模様が細かければこの作業には時間がかかるので、

一日10センチくらいしか進まないそうだ。

 

 各工程の職人さんが関わり、半年から1年もかかるような織物は、

100万と言われても納得がいく。

 軽くて、着崩れがしなくてしかもとても上品な大島紬

ぜひ手に入れたいと思うが、生まれ変わらないと無理な気がする。

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 前日の美術館の絵の作者「田中一村」の終の棲家が街の外れにあった。

 この家に移った時に、戸にガラス戸を入れたので雨の日でも絵が描けると

一村は喜んでいたという。

 

 大島紬の職人をしながら、お金を貯め、

お金が貯まったら絵を描くという生活をしていたというから、

食べるのがやっとの暮らしだった。

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  生涯一村を理解し、結婚もせず援助をしてきたお姉さんが亡くなってからまもなく

一村は、69才でここで亡くなったとのことである。

 一村は、生きている時には、その絵が理解されず不遇な生涯だったようだ。

 

 梅雨の晴れ間の強い日差しに庭の芭蕉の花が輝いて見えた。

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 この日のお昼は、うな重の上。

 上で2000円は、横浜ではなかなかお目にかかれない。

 龍郷町の「大勝」という店だ。

 名瀬市では結構うなぎ屋さんを見かけたので、

もしかして、奄美のうなぎかなと淡い期待を寄せていた。、

 お店の人に聞くと、以前は育てていたそうだが、手間がたいへんで

現在は、鹿児島から取り寄せているとのこと。

 それにしても、よく脂ののったこのウナギ、辛めのたれだが美味しかった。

(まだしつっこくつづく)

 

 

 

奄美大島 その3

 3日目は、晴れたり雨が降ったりの目まぐるしい天候だったが、

干潮の時しか現れないというパワースポット、「ハートロック」を探しに出かけた。

 私たちが宿泊していたロッジからさほど離れていないはずなのに、

海岸へ下りていく道が一向にわからない。

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 人に聞いて、ここだろうという道を探し下りていく。

 両側には、ソテツ、クワズイモゲットウ、アダンが茂っている。

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 左は、クワズイモの花で、右は、クマタケランではなくゲットウの花。

 房が垂れていているところ、蕾が丸くて桃の実がイメージできるだろうか。

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 海岸が見えるところまでやってきた。

 この辺りの海岸は、直接波が打ち寄せている。

 右側の手広海岸では、サーフィンもできるのだそうだ。

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 アダンの気根がむき出しになっている暗いトンネルのような道は、

ちょっと怖い感じがする。

 暗い道を下りると浜辺へ出てくる。

 案内表示もなく、誰もいないので、聞くわけにもいかず、

とりあえず砂に残っている足跡を手掛かりに歩いてみた。

 

 侵食によってできただろう大きな岩もあり、

その先に岩のお皿のような潮だまりが点々としている。

 

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 お目当てのハート形の潮だまりを探して歩く。

 

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 写真を見ると、海の色がエメラルドグリーンになっていて

恋人たちがうっとりとするような潮だまりだが、結局それらしいのは見つからない。

 恋のパワースポットが今さら必要でもあるまいと、途中であきらめ

「私のハートロック」と心に決めたのを写真に納める。

 小さめなので、パワーのご利益も小さいかもしれない。

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 広い砂原には、グンバイヒルガオが群生しているのが見られた。

 ここのはすごい。

「はまひるがおの小さな海」の背景は、きっとこんなところだったのだろうと

改めて想像してみた。

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 こちらは、アダンの実。

 沖縄で初めて見た時は。パイナップルかと思ったくらいよく似ているが、

普通は食さないそうだ。

 

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 まだ花が咲いていないのでわからないが、これは、「ハマゴウ」だろう。

 紫色の美しい花で、実は、漢方薬に使われる。

 

 さて帰ろうと思ったが、海岸への出口を確かめておかなかったので、

見まわすところがどこも同じような景色に見え、ずいぶん探し回った。

 

 もしかしてこんなところで遭難なんてことはないとは思っても

今は干潮だが、満潮になったら水に浸かってしまうかもしれないとちょっと怖かった。

 それでも、何とか道が見つかって無事浜から脱出できた。

 

 一度食事をするためにロッジへ帰り、午後は奄美パークへ。

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 奄美パークは、奄美の自然、歴史、文化などを展示や映像で紹介し、

それに「田中一村」の美術館も併設されている。

 上の写真は、一村美術館の建物だ。

 なかなか個性的な建物だ。

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 庭には、一村の絵に登場する植物を植えてあり、

その向こうに360度奄美大島が見えるという展望台もある。

 時間がなくて、この日は展望台には登っていない。

 

 一村の絵は、30年くらい前に新宿のデパートで開かれた展覧会で見たことがあるが、

生命力あふれる生き物の絵を新鮮な気持ちで受け止めた記憶がある。

 彼の絵は、およそ日本画に登場してこない南国の植物や鳥をモチーフにしている。

 

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 今回買った絵葉書。

 左は、ダチュラ(エンゼルトランペット)とアカショウビン

 右は、クワズイモとソテツ

 今日は、ここまで。

 (つづく)

 

 

 

奄美大島 その2

 

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 朝は、太陽も顔を出していたのに、島の北部を出発して2時間、

一番南の瀬戸内町の古仁屋港へ着くころには、空一面雲に覆われてしまった。

 ここから向かいの加計呂麻島へ渡ろうとしたのだが、

昼を過ぎてしまったので、予定していたフェリーは、既に出港。

 次は、午後2時。

 フェリーは一日3便か4便しかないのだ。

 この日、一人は名瀬市で用があって引き返すので、

ここから先は初めての二人だけで加計呂麻島へ渡ることになっていた。

 そこでレンタカーを借りるためにインフォメーションへ行くと

フェリーのほかに乗合タクシーがあることがわかり、タクシー乗り場へ急いだ。

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 お客さんは、5,6人。

個人でタクシーとしてお願いすると3,000円だが、乗合だと1人350円。

 白い船体のエリザベス号は、加計呂麻島の生間(いけんま)へ

水しぶきを上げて快調に進む。

 15分、あっという間だ。

 港を出て右へ100mくらい歩くとレンタカーやさんがあるらしい。

 看板があるからレンタカー屋さんだと思われる家の前で

 「さっき電話した〇〇です。」

と声をかけると、出てきてくれた。

 名前と携帯電話を記録して手続きは終わり。

 

 ふだん乗っているタイプのギアーじゃなくて不安だったが、

一本道で出会う車もほとんどないので何とか乗ることができた。

 この港は、島の東側で目的地実久(さねく)は、最西端、

やはり1時間くらいかかった。

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 3月に来たという友人のお勧めでやってきたのだが、

空が灰色なので、自慢の海もどんよりしている。

 ここは、「実久ブルー」と呼ばれるくらい素敵な海だというので

やってきたというのにちょっとがっかりだった。

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 打ち寄せる波を見ていると、水が透き通っていて確かにきれいな海だ。

 停留所がある。

 ここまでバスが来るので、トイレもあり、待合室もあるが

人はだれもいない。

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 草が生えて広くなったところにつながれたヤギが1匹。

「三匹のヤギのがらがらどん」の絵本に登場できるくらい

毛足が長くておひげも立派なヤギさんだ。

 

 そばでたき火をしている年配の男性がいたので話しかけると

 「山の上に行くと見晴らしがいい。」とのことだったので、

車で指さされた方向へ行ってみた。

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 夕日の丘と名前の付いた見晴台から下を見ると、

先ほどまでいた実久の入り江がエメラルドグリーンに輝いているではないか。

 うわさ通りの素敵なブルーにびっくり。

 浜辺から見た海の色が冴えなかったので感激もひとしおだ。

 夕日が沈むころだとどんなドラマが見られるのだろうか。

 そんなことを思いながら、帰途につく。

 帰る道々山に自生する植物の写真を撮る。

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 クチナシ                コンロンカ

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 今の時期、奄美の山々に白い花が見えたら、この「イジュ」だと思っていい。

 沖縄北部から奄美諸島の固有種だそうだ。

 ちょっと種類が違うかもしれないが、

小笠原でヒメツバキと呼ばれる花とほぼ同じ。椿の仲間だ。

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 コガネムシが蜜を求めて潜り込む。

 きっと甘い香りで昆虫たちを呼び寄せているのだろう。

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 山のところどころにツツジが咲いていた。

 木は小さいのに、花が大きい。

 名前がわからないが、「ケラマツツジ」かもしれない。

 ケラマツツジなら、奄美沖縄地方の固有種。

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 途中寄り道をして、於斎(おさい)というところでガジュマルを見た。

 島には、もっと大きなガジュマルもあるらしいが、今回は見過ごしてしまった。

 気根の間から静かな海が見えるのは、格別だ。

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 生間(いけんま)の港まで戻ってきたら、まだ時間がありそうなので

車で5分くらいの諸鈍(しょどん)まで行って、珍しいデイゴの並木を見た。

 樹齢は、200年から300年くらいの立派な木だ。

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 赤く咲くデイゴを見ると、沖縄の島唄の歌詞を思い出す。

 今回は時間がなくて回れなかったが、この加計呂麻島にも戦跡がある。

 

 雨が降り始めた。

 何とか降らずにいてくれてありがたかったが、

雲もとうとうこらえきれなくてという感じだ。

 

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 この辺りでは、唯一らしいガソリンスタンドでガソリンを満タンにした。

 ガソリンは、15円離島割引がされていても、リッター175円。

 うちの近所では、125円くらいだったので高くてびっくりした。

 

 レンタカーを返しに行くと、

「留守だったら、カギはフロントの日よけに挟んでおけばいい。」

との話だったが、本当に留守だった。

 島の生活はこんな感じなんだろう。

 レンタカーの借り受けだけで、加計呂麻島の生活を垣間見た気がした。

 

 帰りの船は、5時10分発の「デイゴ丸」。

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 雨が降り出したので、屋根のある部屋に入ったら、

寅さんシリーズのロケに訪れた時の写真と思われる

山田洋二監督と浅丘ルリ子さんと船長さんのツーショットの写真が飾ってある。

そして、その右には話題の安倍昭恵さんのサインが・・・

 

 帰りは、ご飯を食べて帰ろうということになり、

龍郷町(たつごうちょう)にある島豆腐やさん直営の食堂へ行った。

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 お勧めの1700円の島豆腐定食。

 まず、自由に中央にある豆腐や豆乳を食べられる。

 それからこの定食が出てくるのだ。

 左の上の煮ものは、豚の角煮。

柔らかく煮えた大きな塊がゴロゴロっと3個も入っている。

 それを食べるだけでお腹はいっぱい。

 他の豆腐、湯葉、白和え、コロッケ、かき揚げ、

ピーナッツ豆腐(ジーマミー)などいろいろあったが

ご飯を残しても食べきれなくて、お持ち帰りのパックに入れてもらった。

 男性でもきっと満足できる質と量が期待できる。

 (つづく) 

奄美大島 その1

 今回の旅は、奄美大島へ3度目という友人のお誘いだったので、

航空券から宿泊まですべておんぶにだっこで楽ちん旅。

 成田13時50分発のバニラエアーで奄美へ16時25分着。

 

 13日から奄美は梅雨入りだったので、

南国のスコールにも対応できるようにレインコートまで用意してでかけたが

着いた日は、晴れ間の覗くまずまずの天気だった。

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 宿泊は、自炊ができるようなキッチンも付いた1棟立てのコテージ。

 庭には、タコの木と展望台、それにピザが焼ける窯もある。

 

 到着した夜、翌日は、夕方には雨が降るというので外に出て星を見てみた。

 雲が少しかかっていたが、ふだん1等星と2等星ばかり見ている目には

見える星が多すぎて星座が見つけられない。

 贅沢な悩みだ。

 波の子守唄を聞きながら眠りにつく。

 

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 庭の前は、すぐ海。

 翌朝浜辺へ出てみた。

 空は、明るく午前中は、雨も降りそうにない。

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 真正面は、天然の波消しブロック。

 奄美は、サンゴ礁の北限だそうだ。

 実際に歩いて見ないとわからないが、白い波が返っているところまでは

遠浅になっていて、サンゴの間を小さな魚が泳いでいるに違いない。

 太陽の光がもっとあれば、海はエメラルド色に輝くはず。

 

 

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 右の方へ歩いて行くと砂浜の植物が見られる。

f:id:yporcini:20170524072217j:plain  咲いていました咲いていました!

 グンバイヒルガオ

 茅ヶ崎の砂草の観察会へ参加するようになり、

ハマヒルガオにも「グンバイヒルガオ」という種類があることを知った。

 南の海へ行けば、きっと「グンバイヒルガオ」が見られるはずと

奄美へ来る前から楽しみにしていた。

 

 その「グンバイヒルガオ」をさっそく見つけることができた。

 葉の形が相撲の行司が持つ軍配に似ているのでついた名前だが

 花の色もハマヒルガオより、少々大きく色も濃いようだ。

 縦横無尽にツルをのばしている。

 

 グンバイヒルガオを見られただけで気分がグーンと上がってしまう

私というのは、安上がり?!

 いやいや飛行機代を考えるとそれほど安上がりでもない。

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 自生の「ハマオモト」

 ハマユウと覚えている人の方が多い花だ。

 

 まわりの黄色い花は、コマツヨイグサ

 かわいい花だが、茅ヶ崎では、在来種を脅かす外来種なので、

行くたびに駆除する草だ。

 ここにもしっかりと根付いていた。

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 ハマボッス

 今回調べて初めて名前を知った。

 

 隣のロッジの庭に咲いていたのは「ゲットウ月桃)」かと思ったが、

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 ここに咲いていたのは、よく似たクマタケラン

 この写真とゲットウを見比べるまで、気がつかなかった。

 先入観があると印象でものを見ているのだと自分の目のいい加減さを知った。

 

 ゲットウは、沖縄へ初めて行った時に、

葉に餅菓子をくるんで売っているのを那覇で食べたことがあるので覚えていた。

 ゲットウの葉にはほのかな甘い香りと抗菌作用があるので

紙、化粧品、お茶などいろんなものに使われている。

 

 ゲットウクマタケランも、ちょうど梅雨の頃咲くのだそうだ。

 ゲットウは、下向きに垂れて咲くし、蕾は桃の実を想わせるというからもっと丸い。

 クマタケランは、ご覧のようにエビネのように下から上に向かって立って咲き

花の蕾は、ゲットウと同じように先っちょがピンクになるが、細長い。

 

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 「ハイビスカス」

 特に目新しいわけではないが、この鮮やかな赤い花を見ると元気になるから不思議。

 

 朝食を済ませ、レンタカーが届くのを待って、

雨が降らないうちに島の南部まで出かけることにした。

(続く)

 

つばめのヒナ

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 5月23日、めまい症が治らないうちにこの日から旅行へ行くことになり、

最寄りの駅へ向かう途中のこと。

 パン屋さんで買い物をして道へ出ると、向かいからにぎやかな声が聞こえてきた。

 

 交番の軒先とは目の付け所がなかなかいいなと感心。

 ここならカラスなどに襲われることもないし、人間にいたずらされることもない。

 

 都会では軒がある建物が少なくなってツバメも巣作りが大変そう。

 巣の色を見ると、黒っぽい巣の上に茶色い泥がのっているので

去年の巣を再利用している模様。

  

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 少しアップするとこんな感じ。

 

 この子たちもしっかりとくちばしが黄色い。口を開けると中はもっと真っ黄色。

 親たちは、飛び回ってこの子たちに懸命に虫を運んでいるのを目にするが、

本当に子育ては親にとっては大変な仕事。

 

 もうあれから10日。

 そろそろ巣立ちかもしれない。

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 私は、巣立ちではなく、旅立ち。

 Ýキャットから久しぶりにリムジンに乗り、成田空港へ。

 今回の旅先は、奄美大島

 成田空港へはしばらく行っていないので、第3ターミナルができていることも、

バニラエアーなどの格安航空が入っていることも初めて知った。

 奄美大島へは、今回は、片道諸経費込みで14,500円。

 国内線だけでなく、台湾やフィリピンなどへもずいぶんと安く行けるようだ。

奄美の話は次回。