秋田駒ケ岳
気仙沼から仙台を経由して秋田県の田沢湖へ向かいました。田沢湖駅へ降り立つのは3回目ですが、初夏の高山植物の時期は初めてです。田沢湖高原温泉に私の友達がやっているホテルがあるので、つい気安く来てしまいます。
真ん中に写っているのが、秋田駒ケ岳の主峰、男岳(1623m)です。標高がそれほど高くないのですが、緯度が高いために、北アルプスでは、もっと高いところへ登らなければ見られない植物を割合安易に見ることができます。
八合目(1300m)までは、6月の20日前後からバスが通っているので、一番高い峰までも標高差300mくらい登ればいいのです。(マイカーではシーズン中は登れません。)
今回の私のお目当ては、コマクサとタカネスミレとシラネアオイでした。
笹森山へ行く途中の雪渓
一日目は、八合目→笹森山→湯森山→焼森→横岳→大焼砂→馬場の小路→男岳→阿弥陀池→新道コース→八合目というルートを歩きました。
同じバスを下りた人では、このコースをとったのは、私1人。ちょっと心細い気持ちもあったので、途中の雪渓に、動物の足跡が見えた時には、クマ?キツネ?シカ?と頭を?が飛び交いました。心の中でキツネということにして前へ進みました。でも、この辺の山にはクマもちゃんと住んでいて、近くにふんだんに生えている熊笹の竹の子ほりにやってくるそうです。なにせ、ここは、笹森山ですから。
それでは、この近くで見つけた高山植物を紹介します。
ハクサンチドリ
イワカガミ(コイワカガミかも?)
コミヤマハンショウヅル
乳頭山を望む
湯森山山頂から男岳とは反対の方向へ目をやると乳頭山(1478m)が見えます。山頂の形から付いた名前です。県境にあるので、岩手県側からは烏帽子岳と呼ばれているそうです。湯森山から焼森、横岳と進み、そこから大焼砂(おおやけすな)という火山砂礫が長く続く斜面へと下りていきます。この砂礫の不毛な土地を選んだのは、高山植物の女王とも呼ばれるコマクサとタカネスミレです。
コマクサ
まだ咲き初めで、ちらほらしか咲いていませんが、7月の最盛期にはこの砂礫一面がピンクに染まるそうです。こんな栄養分の少ないところで、しかも周りには風をよけてくれる他の植物すら見当たりません。
タカネスミレ
タカネスミレは、同じようなところにやはり群生しているのですが、もうすでに斜面一体を黄色に染めていました。そろそろ終わりです。コマクサと花の咲く時期をずらして住み分けているのかもしれません。このスミレに似ている花が2つあります。オオバキスミレとキバナノコマノツメです。まだよく区別ができませんが、砂礫でないところで咲いているようです。
馬場の小路
大焼砂を過ぎて右へ降りていくと、原始駒ケ岳の火口原、馬場の小路(俗に「ムーミン谷」と呼ばれる)へ入ります。右側は、横岳から男岳の切り立った稜線で、左側は、火口原(直径2キロ)に新しくできた小岳と女岳の火口丘。その間を木道が一本通る谷です。遅くまで雪渓が残り、雪解けと同時に白いチングルマのお花畑が広がる光景は何ともメルヘンな感じがします。
ここに夜までいられたら・・・・・・・・半月の出る夜にムーミンとその仲間がやってきて、駒池のほとりに座って楽しそうに遊んでいるシルエットが浮かんできそうな谷です。
ムーミン谷のチングルマ
男岳山頂
駒ケ岳は、昔からこの地域の山岳信仰の山だったようで、山頂には鳥居があります。隣の男女岳(オナメダケ)の方が、1637mと男岳よりも15mほど標高が高いのに、やはり駒ケ岳の代表としての座を堅持していて、ほとんどの人は、こちらを選んで登るようです。
男岳の右側に女岳、左側に男女岳(おめかけさんという意味があるとか)が位置しているのですが、男岳は、男女岳ばかりを見ているので、女岳は、やきもちを焼いて噴火するのだという話があるそうです。これは、神様の話ですが、何とも人間的ですね。
女岳は、1970年に噴火して半年余活動が続いたそうです。今もその時の溶岩が流れた跡が黒く残っています。しかも、その32年前にも噴火しているので、もう次の噴火があるのではとささやかれています。ストロンボリ式火山ではないかということで、噴火の周期は短いが規模は小さくて大きな災害とならないという話ですが、どうなのでしょうか?