レンタネコ
荻上 直子の脚本・監督の映画です。
私は、この人の長編第一作目の作品「バーバー吉野」をテレビで見て、なんておもしろい作品を作る人だろうとファンになりました。
その後の「かもめ食堂」、「めがね」、「トイレット」と、どれも自分で脚本を書き、監督をしているところもそのユニークさを生み出しているのではないでしょうか。
また、彼女の映画には、もたいまさこ、小林さとみ・・・・・など同じメンバーが登場している映画が多いのも特徴です。独特の雰囲気を出せる俳優さんなのでしょう。
今回の映画の発想もユニークです。主演は、市川実日子、やはり「めがね」に登場しています。
いつも自分のまわりにはネコが寄ってくる。母親、父親の影も形もありませんが一緒に暮らしていたのは、祖母。ネコ好きなのは、どうも、亡くなった祖母の血を引き継いでいるのだろうと思っている。家の中には、8匹?のネコがのびのびと暮らしている。ある日、寂しい人に、ネコをレンタルする商売?ボランティア?を始める。リヤカーに5,6匹のネコをバスケットに入れてパラソルを日よけにして、多摩川の川べりを小さな拡声器を持ちながら歩いていく。
お客さんの一人目は、夫に先立たれ、唯一の家族のネコも死んで、今は1人のおばあちゃん。二人目は、家族と離れ、単身赴任をしているサラリーマン。三人目は、めったに借りに来る人がいないレンタカー屋のお姉さん・・・・・・みんな心に穴が開いている人たち。その穴がいろんな形で表されているのもおもしろい。
映画にこめられているメッセージは、「さびしいまま、なんてゼッタイにいけません。」です。
俳優ネコさんがたくさん出てきます。飼ったことがない私ですら、かわいいと思えるネコたちですが、特にかわいいのは、かごに眠るでもなく起きているでもない「歌丸師匠」です。「歌丸師匠」を見るだけでも癒される映画です。