悪魔の弁護士と呼ばれても、なお弁護士・安田好弘

                死刑弁護人

                                      f:id:yporcini:20120825113218j:plain

 

 監督は、斉藤潤一、東海テレビの制作のドキュメンタリー映画です。テレビ局もマスコミの一翼を担っているはずなのですが、この東海テレビの今まで取り扱ってきた作品は、どれも今まで大きく報道されてこなかった私などが知らない事件や問題点を深く掘り下げようとしているものが多いように思います。

 安田弁護士は、普通は、一番引き受けたくない死刑事件を引き受けてきたし、今もなお背負っている弁護士です。時には、極悪人の代理人、人殺しを弁護する人でなし、とバッシングを受けながらも、なお引き受けるのかという疑問に、こう答えています。

 「事実を出して、初めて本当の反省と贖罪が生まれる。どうしたら同じことを繰り返さずにすむのか、それには、まず真実を究明しなければならない。」

 このチラシにも書かれていますが、最高裁で死刑が確定したような大きな死刑事件をこれだけ背負っています。この中には、恩赦を請求していたので、まさか死刑が執行されると思っていなかったのに、執行されてしまっ死刑囚や、拘置所で精神的に耐えられなくて自殺をしてしまった死刑囚もいました。 

 安田弁護士は、後から自分の不注意だったと後悔しています。そして被疑者と付き合い始めたからには、たとえ、自分の力が及ばなかったとしても、最後の看取りまでする必要があるんだと徹底して被疑者に寄り添う弁護士だということも分かりました。

 多忙を極め、自宅には、一月に一度しか帰れず、事務所の自分の部屋の荷物を片付けて、布団のスペースを作って寝泊りするような生活で、子どもともっと接してあげたかったけれど・・・・・というような生活を送りながらも、なお必要とされるならと弁護士としての仕事を続けている安田弁護士は、ただものではありません。

 マスコミや検察の情報を鵜呑みにして、思い込みの上に被疑者に対してバッシングをする私たちに、「なぜ、いつも自分たちが正しいと思えるのか?」と、この作品は、投げかけています。

 独立系の小さな映画館でしかやっていないようですが、(横浜は、24日で終了)機会があったらぜひ見ていただきたい映画です。