ちょっぴり秋

禅寺丸柿

f:id:yporcini:20120916150426j:plain

 前日、すごい雷雨で、近くの植物園にある柿が道端に落ちていました。見上げると、先端が色づいているこの禅寺丸柿でした。

 この柿は、今の川崎市麻生区辺りが発祥の地です。今は、その地名は町村合併でなくなりましたが、以前は、柿生村と言われていたところで、小田急線の柿生駅としてのみ名前が残っています。名前の通り日本で最初に甘柿が発見されたところです。

 この辺りに王禅寺という寺がありますが、鎌倉時代に新田義貞の鎌倉攻めの際、この寺が焼失したので、等海上人がこの寺の再建を引き受けた時に、寺の裏山にとても甘い柿の木を見つけ、あたりの農家にこの柿を接木させ栽培を普及させたのが始まりだということです。その後、 柿の栽培は、川崎や、隣の町田市など多摩地区に広がりました。

 時代を追うに従いほかにも甘い柿が登場したことで、禅寺丸柿は、種が大きい割りに実は小さく、品質にばらつきがあったため、大正時代をピークに生産は下降の一途をたどり、今では近辺の直売所に出るのみで市場には出なくなりました。

 この禅寺丸柿を使って町田市では、この柿を次の時代へ引き継ぐ活動として、1997年にワインの生産販売を初め、年間3000本の生産をしているそうです。私もこのワインを飲んだことがありますが、甘口のフルーティーなワインです。

 ほんのり色づいた柿を見ていると、なんだかほっこりとしてきます。