鎌倉の彼岸花が咲く寺その3

宝戒寺

 浄光明寺も鎌倉では数少ない密教の寺でしたが、ここは天台宗の寺です。新田義貞の鎌倉攻めで最後を迎えた北条九代の霊を沈めるために、後醍醐天皇足利尊氏に命じその屋敷跡に建てさせたという寺です。

 北条氏の菩提寺東勝寺で九代執権北条高時をはじめ、家来800人が寺に火を放ち自害をしたと伝えられているのが、この宝戒寺の裏手でした。鎌倉を知れば知るほど、鎌倉は、血なまぐさい権力争いのあったところでもあるのだと認識を新たにしています。

 鎌倉五山の建長寺のある谷間は、かつて地獄谷といわれ、罪人の処刑場でもあり、死人を捨てた谷だったということで、本尊は、禅宗の寺では珍しい地蔵菩薩をおいたといわれています。

 ここの本尊も、「子育経読地蔵」(国の重要文化財)でやはり、罪人をも救って下さるというお地蔵様です。ここは、拝観料の100円を払えば、特にお願いすることをしないでも、本堂に上がり、目の前で拝観できます。人が少ない時期に行くと、ゆっくりと拝観できるので、私の好きな寺の一つです。大変慈悲深いお顔の地蔵様です。

 場所は、鎌倉駅の東口を降りて、若宮大路へ出たら左に曲がり、鶴岡八幡宮の鳥居の前の道を右へ曲がった突き当たりです。

 本堂の前の白萩

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 境内は狭いですが、このお寺も一年中花が絶えない花の寺で、9月に入ると、参道の両側にある白萩が迎えてくれます。白い萩、白い彼岸花、白い芙蓉、白いジンジャーリリーと白い花を配している珍しい庭でもあります。芙蓉は、正確には朝は白い花を咲かせ、夕方には濃いピンクの花になってしっかりと閉じる「酔芙蓉」です。白のほかに、黄色いリコリスと赤い彼岸花も混じってしまうのは意図せずに生えてきてしまったのだろうと、私は勝手に思っています。

 白い彼岸花                                                        酔芙蓉

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 本堂のお参りが済んで降りてくると、階段の両脇に睡蓮の大きな鉢がおいてありました。ちょうど睡蓮が咲いているのが目に付いたのでシャッターをきりました。青い空と白い雲まで映りこんでいて、まるで小さな宇宙がそこにあるような気がしました。この日一番のスナップだと自画自賛。

 睡蓮 

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