東北旅行その3(酒田市)

 雪がちらつく中、鳴子温泉駅から陸羽東線で更に西へ進み、有名な温泉場をたくさん通り抜け、山形県新庄まで行き、今度は、陸羽西線に乗り換え、最上川を見ながら酒田へ。

 この道は、かつて松尾芭蕉曽良と一緒に歩いた奥の細道に出てくるところです。最上川ラインを舟で下ることも考えましたが、12月ならコタツが入るそうですがまだ11月でしたのでやめました。稲刈りが終わった田んぼが続き、白い鳥が何十羽も群れているのを見ました。普段なら白い鳥は鷺だと思うのですが、この白い鳥は、遠目から見ても体が丸いので白鳥の群れだと分かりました。 

 酒田には、ちょうど12時半過ぎに着きました。駅前は大きなロータリーがあり、大通りもあるのですが、商店は、土曜日だというのにシャッターが下りていたり、建物も壁が色あせているところが目立ちました。酒田は、「おくりびと」の映画のロケが行われたところです。映画の中にも古びた建物が出てきていたことがふと思い出されました。

 昼は、「こい勢」というすし屋で寿司を食べました。あぶりのど黒は、口に入れるとほろっと溶けやっぱり美味しいなと思いましたが、値段も630円ですこぶる高かったです。大将は、「ふだんだと400円くらいなのに今日は、高くてすみませんね。」と言っていました。

 あまり時間がないので、有名な三居倉庫と廻船問屋だった「旧鐙屋」を廻りました。

 三居倉庫

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 海の近くへやってきたせいか、風が強く寒さが身にしみました。この倉庫は、米を貯蔵するために明治時代にできたものです。西日から倉庫を守るために西側にケヤキの大きな木が並び、倉庫の屋根は二重になっているのだそうです。今も米倉庫として使っているようですが、酒田の名産品を並べてあったり、おみやげ物を売っている部分もありました。

 舟で輸送するのに便利なように川のそばに作られたようです。

 旧鐙屋(石置杉皮葺屋根)

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 鐙屋さんは、廻船問屋です。廻船問屋は、今の商社にあたるものです。中は、いくつかの部屋が中庭を望めるように配置されています。廻船問屋は、商談をしている間は宿として提供し、話がまとまると手数料をもらうのだそうです。酒田からは、船で下関、瀬戸内海を経由して主に江戸へ米を、京都へは紅花なども運んだそうです。

 この鐙屋さんは、酒田でも最も栄えた廻船問屋で、町年寄36人衆(町政運営を司る)をずっと担った名門だったそうです。

 建物は、火事に遭っているので、復元されたものだそうですが、よく雰囲気が出ている建物でした。屋根は、杉の皮が三重になっていてその上に石がのせてあります。杉の皮が水を含むとスポンジのように石を包んで押さえてくれるのだそうです。

 日本海から吹き付ける風が強いところなので、こういう構造になっているのでしょう。 友だちの話だと、酒田の冬は生半可な風でなく、雪は積もるのではなく地を這う地吹雪で、塀や壁に雪が張り付くのだそうです。地吹雪の日は、前が見えないので外出ができないと言っていました。鐙屋さんの案内をしてくれた女性が、「冬に来てもらえばよく分かりますから一度いらしてください。」と言っていましたから、その話は本当のことのようです。日本海側の街は、厳しいものがあるなと思いました。