旧東海道を歩く・・・番外編

 先日東海道を歩くの神奈川宿の地図を見ていたら、街道筋から離れていますが、神奈川にもお台場があったことを知りました。今は、埋め立てられてしまいほとんどは地上に出ていませんが、台場公園近くには、組んだ石垣の跡が残されています。

 京急の仲木戸駅(あるいはJRの神奈川駅)を下りて、国道15号線を越え、海の方へ向かって歩いて行きます。途中、おうちの庭に梅の花がいい香りを放っていました。昨日の春の陽気に誘われてかここの紅梅はもう見ごろです。

 見頃の紅梅

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 もう少し歩くと何本か残っている運河のような川があります。船が泊まり、水鳥が遊んでいます。空気は冷たいですが、うらうらとしています。

 水鳥の遊ぶ船泊まり

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 やがて台場公園というのが見えてきますが、開港百五十周年事業の一環で、この台場の歴史を書いたものを公園内に展示し、整備したようですが、肝心の石垣は、公園を囲む外の道を進んだところにあります。ここに出ているのは、3段のみですのであとの4段は埋め立てられてしまっているのだと思います。

 神奈川台場跡

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 神奈川台場は、江戸幕府の命令で1860年(万延元年)勝海舟の設計で伊予松山藩が請け負って作られたものだそうです。

 石は、真鶴半島から運んできた石で一つが600kgから700kgあるとか。近くに寄ってみると一つがかなり大きなものです。

 敷地は、日本で一番広く、砲台は14門ありました。国を守るというのが目的だったのでしょうが、使われたのは、もっぱら外国船が入港する際の礼砲とか祝砲のみだったそうです。居留地が廃止になった後には、使われることもなく埋め立てられてしまったということです。

 この先高層マンションが見えるあたりに、マンションを作る際、地下を掘った時にやはりこの台場の東側の角にあたる部分の石垣の遺構が無傷で出てきたそうです。今はそのマンションの1階に石組みがそのまま見られるようにしてある民間の資料館があるのですが、こちらは日曜日がお休みで見られませんでした。(ヒストリア・レジデンス海舟という名前の6階建てのマンションです。)

 コットンハーバー

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  このマンションがある辺りは、新しく埋立地にマンションが開発された地域で、瑞穂橋を渡ると米軍の基地(ノースドック)だそうで無断立ち入りはできません。この辺りは、「コットンハーバー」と呼ばれていています。私も名前は聞いたことがありましたが来たのは初めてです。横浜港の東の端にあって、ふだん見える港とはちょっと違う風景が広がります。海縁はさすがに風が強く脱いでいた手袋をはめ、マフラーも巻きなおしました。 

眞葛ミュージアム

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 コットンハーバーから台場公園の方へ戻り、横浜駅の東口の方へ進むと高層マンションが立ち並ぶ街へ出てきます。あるマンションの1階にこのミュージアムがあります。

 NHKの取材もあってだいぶ認知されてきたといわれていましたが、2009年にできたばかり、しかも土・日のみの開館なので知られざる驚きの美術館です。

 代々京都の眞葛ヶ原で焼き物を生業とする家柄に生まれた「宮川香山」は、1871年、京都から横浜へ出てきたそうです。今の南区太田に釜を開き、主に海外向けの磁器の制作をし、パリ万博、シドニー万博・・・・と数多くの海外の博覧会で賞を取ったそうです。初代の香山、二代、三代と続いた眞葛焼きでしたが、横浜大空襲で釜は壊滅してしまい、所蔵していた資料も作品もなくなって終わってしまったそうです。子孫にあたる方々の努力で、海外に出ていた作品を再び買い戻して集め、今は200点くらいの作品を所蔵しているとの話でした。時々作品が入れ替わるようですが、50点くらいが展示されていました。

 磁器の絵付けはもちろんですが、壷に絡みつくように焼き付けた蔦、そこに遊ぶねずみ、崖に巣をかけている鷲などを立体的に表したもの・・・・高浮き彫りというそうですが、その緻密さを見ると技量の高さは半端じゃないことを知ることもできますし、釉薬の色の多様さにも驚きました。

 元々が京都の焼き物から始まっているわけで、「仁清」や「乾山」といわれる人たちの意匠を見て作られた菓子鉢の古典的な焼き物にも魅かれました。

 写真は撮れないので、ちらしの写真はアップしてもいいといわれたので、参考までに見てください。横浜に焼き物が存在し、それが海外で絶賛されたということ、そしてもうその焼き物の釜は閉ざされ、まぼろしとなってしまったということを知って、残念だけれども誇らしい気持ちになりました。

 今日のお楽しみは、まだできて日も浅いですが、「勝サブレー」です。バスの看板などにこの宣伝がしてあるのを見たことはありましたが、今日行ってみて、サブレーの形が台場の土地の形で、勝海舟が設計したということをお菓子にこめて作ったことが分かって買う気持ちになりました。

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 今日の歩数は、12000歩でした。