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母が入院して考えたこと

 母が救急車に運ばれ、今入院をしている。

 「肺炎と心不全」というのが病名。

 何せ高齢なので、主治医は、「一進一退で時間がかかるでしょう。」 とのことで、もう10日間入院している。

 実は、2年前の冬にも肺炎になり、入院したことがある。

 その時は、割合けろっとしていたが、主治医は「年が年だから2週間くらい入院した方がいい。」と言って、次の日病室の空きもあって、すぐに入院ということになった。

 ところが、3日目の午後、

 「今日退院することになりましたから、何時に来られますか?」との電話が携帯に入った。

 結局のところ、母は、認知症を患っているので、普通の患者さんのようにはいかず、病棟の看護師さんが手を焼いていたので、一応の症状が取れたとの判断で、主治医がOKをしたというのが真相のようだ。

 今度の場合も同じことになるのでは と 心配をしていたが、集中治療室から一般病棟に移り、いろいろ手をかけてもらうのでたいへんなことに代わりはないのだろうが入院が継続されている。

 2年前と症状にも差があるとは言え、やはり私立の病院と公立病院の設備、人員の配置などに差があるのが原因ではないかと思っている。

 それに、看護師さんの表情にも笑顔が見られ、ていねいな対応をしてくれる。

 看護師さんの笑顔があるか、ないか というところで、先日読んだ本の中の展開を思い出した。

 「ルポ 貧困大国アメリカ」(堤 未果 著)岩波新書

 2007年の7月、リスクに無防備な低所得者(アフリカ系55%、ヒスパニック46%、白人17%)をターゲットにしたサブプライムローンの破綻によって家を明け渡さざるをえなかったある一家の話をプロローグに教育・いのち・暮らしについて、アメリカの状況をルポした本である。

 その中に 「一度の病気で貧困層に転落する人々」 という章がある。

 政府が経済破綻しているところから、今まで公として運営していた病院の多くが民営化されているのがアメリカの現状である。

 世界一高い医療費は、たとえば、妊婦は普通分娩が終わった翌日には退院させられ、救急車を呼ぶにはかなりの費用が必要とされる。

 これは、知り合いから聞いた話だが、盲腸の手術で入院すると、民間の医療保険に入っていても、保険でカバーできる以外の支払いは、200万円かかり、救急車を呼んだときには、7万円を請求された との話である。

 何がこの高額医療費の原因かというと、一つは、医薬会社と病院の癒着、医薬会社と政治を動かす議員たちとの癒着が大きな原因だと思われる。

 民営化された病院は、株式会社化していき、働く人の賃金は抑え、株主に利益を還元しなくてはならない。いのちが商品として扱われるということになる。

 ここで、さっきの話とやっと繋がる訳だが、ある病院で働いていた看護師さんが子どもの患者さんに「何で笑わないのか」と言われて愕然としたと告白した話が載っている。

 苛酷な職場では、看護師が笑わないだけでなく、医者たちも競争による効率主義に追い詰められ、医療過誤も急増しているらしい。

 やっと暮らしている人にとっては、民間の医療保険に入ることすらできなくて、一度大きな病気にかかると、中間層といわれている人たちですら、フードスタンプをもらわなくてはならないような貧困層に転落していく。(フードスタンプというのは、一月に定額の食料を買えるカードのようなもので、低所得者に配布される。)

 オバマ大統領が公約をかかげ、保険に手をつけようとしたが、結局は政治献金を送っていた経済界(保険会社や医薬品会社)の圧力で、骨抜きにされてしまったということが次の

 「ルポ 貧民大国アメリカⅡ」に展開されている。

 TPPは、日本の農業問題にのみしわ寄せがくるような話がされているが、経済の自由化、グローバル化ということで、この保険や医療の問題にも波及していくと思うのは私だけだろうか。

 徳州会病院の話は、猪瀬知事の辞職で消えてしまっているが、献金する裏にあるものは、きっと病院の民営化に関係があるような気がしてならない。

 この本は、今の日本政府がこのまま突っ走れば、将来は、アメリカのようになるという示唆をもらえる。