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「書くことの重さ」 作家佐藤泰志

 

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 先週の土曜日に観た映画。

 私は、どちらかというと文学を愛するタイプの人間ではなく、

もっぱら外へ外へと心が動いてしまう方だ。

 だから、同時代の「村上春樹」や「中上健二」と並び称せられ、芥川賞候補に5回も上がった作家といえども、

私は、この作家のことは全く知らなかった。

 それでも、映画を観ようと思ったのは、2010年に劇場公開された

海炭市叙景」 (海炭市というのは、彼の故郷、函館を舞台をしている)という映画を観たことがきっかけだ。

 ただし、その時は、映画そのものにしか目が行かず、原作者のことは覚えていない。

 「海炭市叙景」が映画で取り上げられてから、彼の過去の著作の復刊がすすみ、ようやく注目を浴びるようになったのだという。

 優れた作家でありながら、文学賞に恵まれず、不遇だったといえる佐藤泰志の人生。

 1983年から1985年にかけて、計5回芥川賞候補となるが、受賞は叶わなかった。

 さらに、1989年「*そこのみにて光り輝く」で第2回三島由紀夫賞候補となるが、これも落選。 (*今年春にこの作品の映画が公開されるそうである。)

 映画になった 「海炭市叙景」は、文芸誌「すばる」に断続的に掲載された作品だが、これも構想した36篇の半分で打ち切られたとのこと。

 この翌年、1990年佐藤泰志は、41歳の生涯を閉じた。

 書くことにいのちを削りながらも、書き続けた生き様を描いたのが今回の映画である。

 今回の映画は、広島と長崎で二度被爆者となった山口さんをその死まで追ったドキュメンタリー映画、「フクシマ2011~被爆に晒された人々の記録」 を撮った稲垣秀孝監督の作品である。

 監督自身も、北海道出身で小説家を志していたことがあり、中央の文壇で活躍していた佐藤泰志にあこがれを持っていたというのが映画を作る動機だったようである。

 仲代達也の語りに、ぐっと映画の世界に引き込まれた。

 この映画は、ジャック&ベティで31日まで。