1本目は、「世界一美しい本を作る男」ーシュタイデルとの旅ー
はてブロのお仲間にも実際に文章を書いたり、絵を描いたりなさる人がいらっしゃいますが、自分が作る本を出すときには、こんな形、こんな大きさ、こんな紙で、文字の文体は、色は・・・・とイメージどおりのものを出したいと考えるのではないだろうか。
そんなことができるのは、限られたほんの一握りの人かもしれないが、このシュタイデルというドイツ人の出版社は、それを叶えようとする。
そのドキュメンタリー映画。
遠くても 飛行機に乗って顧客の所まででかけ、実際に会って打ち合わせをすることをモットーにしている。会って決定するのが一番手っ取り早いと言って、世界中を飛び回っている。
芸術家が作品を創り上げるのと同じように、商品としての本を作るのでなく、シュタイデルも本という作品を作るつもりで臨むのだそうだ。
今の世の中、本を作るといったって、それぞれの分野を分業で仕事をするのが普通だろうが、シュタイデルでは、行程のずべてを自社で行い品質の管理をする。
そんなシュタイデルには、世界中から ものすごく注文があるようで、今申し込んでも、できるのは2~3年後だそうだ。
2本目は、「ジュゼッペ・トルナトーレ」が作ったミステリー映画
「鑑定士 顔のない依頼人」。
音楽は、エンリコ・モリコーネ、ベストコンビのイタリア映画である。
トルナトーレと聞いただけで、絶対に見なくてはと思ったのは、
「ニューシネマ・パラダイス」を作った監督だからだ。
天才といわれた鑑定士のところに、親から残された美術品を鑑定して欲しいという依頼が舞い込むところから話は始まるが、その依頼人は、姿を現さない。
もうそこからこの映画のミステリーが始まっていたのである。
ニューシネマ・パラダイスのストリーテリングには驚かされたが、
この作品のストーリーの展開も見事である。
ニューシネマパラダイスの時の最後のどんでん返しとは違い、もっと巧妙で、最後から巻き戻して見たいと思わせる映画だ。
残念ながら、もう終わってしまったが。
3本目は、「家路」。
今年の3月11日で、震災後3年が経つ。
いろんな映画監督がこのことを題材にして映画を作っているが、
この映画は、久保田 直監督の映画である。
福島、それも原発間近
今や帰れなくなった故郷を持つある家族の物語である。
故郷を去って、20年音信普通だった弟の突然の帰郷が
震災後、仮設住宅に住み、希望を失いかけていた兄の家族と年老いた母親との生活に一石を投じる。
最後に母を背負って立ち入りできない故郷の家に帰っていく姿になんて声をかけていいのか 戸惑いながら映画を見終えた。
夕方になると 村に流れる「家路」(ドボルザーク作曲)が耳に残る映画である。
4本目は、「ペコロスの母に会いに行く」
2013年度のキネマ旬報でベスト1になった作品
離婚して息子を連れて長崎に帰ってきた男と その認知症の母親の話。
岡野雄一作の同名のベストセラー、介護日誌コミックを
森崎東監督が映画化したものだ。
認知症の母親の面倒を日常的に見ていくことは、かなり気苦労が多いはずだが、深刻なはずの生活を時に笑い飛ばすようなユーモアを交えて描いている。
近い時間のことはすぐに記憶から消えていくが、遠い記憶は残るといわれる。
映画は、それを映像として表現できるのだなとえらく感心したものだ。
自分の身近に認知症の人がいる人には、ぜひ見てもらいたい映画である。
主演の赤木春江は、89才で初めての主演女優、しかも世界の映画で最高年齢での主演でギネスを飾ったそうである。
赤木春江の実母が認知症であったからこそ演じることができたのかもしれない。
因みにペコロスというのは、玉ねぎのことだそうだ。
(*どれも名画座ジャック&ベティで上映された映画であるが、家路以外は、今日で終わりである。)