薬草園に入っていくと、傾いた太陽に照らされた
”ノカンゾウ”が、咲いていました。
ノカンゾウが薬草園にあるのは、わけがあります。
花の蕾を、熱湯でゆがいて日干しにし、
乾燥させた 金針菜(きんしんさい)や、
茎や葉には、補血作用や利尿作用があるそうです。
金針菜の方は、中華料理のスープや炒め物に使いますし、
春早く出てきたばかりの葉や茎は、ゆがいて酢味噌和えにして食べます。
鉄分が豊富なノカンゾウは、薬膳料理の食材として有名なのです。
今年は、このノカンゾウも去年よりもずっと花が美しい気がしました。
おいしそうな蕾がたくさんできていて、つい採りたくなってしまいます。
薬草園から果樹園に降りてくると、大きなビワの木があります。
ノカンゾウと同じような色だなと見上げましたが、
実がよくついています。
東京近辺では、ビワは木が大きくなっても、
冬に花が咲くので、なかなか実がつかないと思われていたのに、
近頃では庭に生えているビワの木には、
必ずと言っていいほどしっかりと実がなっているのには、驚きます。
冬の気温がそれほど下がらないからだと 私は思っています。
それとは別に、ビワには、特別な思いが付きまといます。
この時期、サクランボとビワが果物屋さんに並び始めます。
りんごやみかんやイチゴに比べると、値段が高いので、
もう少し安くなってからと思っていると、
いつのまにか店の棚からは消えてしまいます。
幼少期には、幻の果物の一つでした。
それも昔のことで、今は、私の口にも入ってくるようになりましたが、
なんだか甘酸っぱい想いが重なる果物です。
このビワは、この時期、青梅と並んで、植物園の事務室の入口で売っていますが、
この日は財布を持っていかなかったので、買えませんでした。
売り物ではないので小さいですが、結構甘いです。
一袋200円で購入できます。
(続く)