近頃観たインド映画2本。
1本目は「めぐり逢わせのお弁当」
インドでは、お弁当は、配達業者が集荷し、届けるサービスがあるらしい。
朝出勤時間が早いので主婦がたいへんだからか、より温かいお弁当を届けたいということからか、そのあたりはよくわからない。
そのお弁当が各家庭から集荷、行先別に仕分けされ、
配達人とともに列車に乗って、届け先に配達されるのであるが、
ある日、その主人公の妻が作ったお弁当が
自分の夫とは違う男性の下に届く。
いつもは残ったお弁当が返ってくるのに、
その日返ってきたお弁当はきれいに食べられていたので、
とても喜ぶのだが、帰宅した夫はいつものように素っ気ない。
次の日もお弁当は、また夫とは違う男性の下に届く。
取り違えられたお弁当からこの映画のドラマは始まる。
お弁当は、美味しい食べ物という以上に、
そこに詰められた思いを感じられる、そんな映画である。
2本目は、「聖者たちの食卓」。
シク教の聖地、ハリマンディル・サービブ<黄金寺院>で
500年以上受け継がれる「聖なるキッチン」の舞台裏を写し撮ったドキュメンタリー映画である。
ベルギーで移動式キッチンのシェフでもあるベルギー人夫妻の監督作品。
この「聖なるキッチン」では、
毎日10万食が巡礼者や旅行者などに、無料で供され
しかも、どんな宗教の人でも、どんな職業の人でも、
どんな階級の人でも、人種も問わず、老若男女だれでもが
同じ広間に隣り合い、同じ窯の飯を食べるのである。
すべての仕事は、無償の労働として行われる。
手作業であるが、その手さばき、足さばきは、無駄がなく見事である。
カースト制度がいまだ社会に生きているインドに、
「すべの人は、平等である。」という教義を持つ シク教という宗教があり
その教義を守るために500年以上も営々と続く
「聖なるキッチン」という慣わしがあることを
初めて知り、衝撃を受けた映画である。
世界は、広いなと 思いを新たにした。