2月19日は、春節。
中華街に着いたのは、午後5時過ぎ、
メイン通りは、電飾がそろそろ浮かび上がってきている。
春節といえども、土日のことを思えば人出は思ったほどではない。
大きな老舗のホールには、春節用の飾り獅子、
店の前には、縁起物の金柑の木に赤いお札が下げられている。
歩いていると、ババババッと耳をつんざくような音がした。
爆竹の音だ。
昔は、所構わず鳴らしていた爆竹だが、
このご時世なので、
この赤い箱の中に入れて鳴らす。
もうもうと煙が出て、それでも爆竹のかすが外に出るらしく
箒と塵取りを持った女性がそばにいて
出たごみを掃除している姿も見られる。
春節の呼び物は、なんといっても獅子たちのご祝儀集めだ。
一軒ごと獅子が回っていくのだが、
まず、爆竹がスタートの合図となり、
次に雑技団の太鼓、鐘、シンバルの打楽器の演奏が始まる。
ドドンド・ドン、ドドンド・ドン‥‥‥
このリズムを体で感じるとそれだけで心が浮き立つ。
そして獅子が登場。
店の前でひとしきり踊り、店の中へと入っていく。
店員さんや、食堂ならお客さんのところを回って、
頭のところで口をパクパクさせているのだろう。
こうしてもらうと、福が訪れるらしい。
店の入り口の看板の下に、
青梗菜(チンゲン菜)と紅包(ホンパオ)が吊るしてあるのが
見えるだろうか。
これが、ご祝儀だ。
店から出てきた獅子は、またひとしきり店の前で踊り、
最後にホンパオを取りにいく。
獅子の中には、二人入っているので、
伸びあがる時は、前にいる人が後ろにいる人の肩にのっかり
立ち上がって取る。
そこがクライマックスなので、
ホンパオをキャッチできると、おのずと拍手が沸き上がる。
口にくわえてしばしお客さんの拍手にこたえる。
元町に用事があって、帰り道また中華街を通っていると
違う路地からまた爆竹が聞こえた。
音に誘われるように入っていく。
店の看板の上に青菜と一緒にホンパオが下げてある。
店から出てきた獅子が
ホンパオを取ろうと構えているところだ。
今度は、少しお客さんも少なかったので
横顔が見られた。
キャッチ!
最後、伸び上がって、姿を見せながら拍手を受ける。
お獅子は、確か五頭いるはずなので、
通りを分けて分担して回っているが、
数が多いので、午後4時ごろから始まっているのに、
この時間になってもまだ終わらない。
朝陽門。
一番海側にある。
陽が上る方向にある、つまり東門だ。
門の右側にある北京飯店で肉まんづくりをしていた。
お皿のようにした肉まんの皮に
肉あんをスプーンのようなもので6杯ほどのせ、
しっかりと押さえながら真ん中をひだを取りながら絞っていく。
あっという間に丸く収まる。
その手さばきの器用なこと。
私が興味深く見とれていると、
ガラス越しだけれど、職人さんは一つ手にのせて
写真を撮れと言わんばかりに差し出してくれた。
一つ500円近くする肉まんは、やっぱり違う。
餡がぎっしりと入っているし、
ちゃんと発酵させた皮を使っているのだろう。
膨らし粉のたくさん入ったふわふわの皮とはちょっと違う。
午後七時半、爆竹の音、打楽器のリズム、
獅子の奮闘ぶりに興奮し、
ちょっとくらくらする春節の宵となった。
パイタン麺を食べて帰路に着く。
アルコールなしでも酔えるのだから、
安上がりなものだ。