「馬々と人間たち」

 

 この映画は、私の映画体験の中で未だかつて観たことがなかった

アイスランド映画である。

 

 ガレ場や草地が続く広大な荒れ地で生活している馬たちと

人間たちのドラマだ。

 ドラマといっても、ちゃんとした筋立てがあるわけでなく、

そこに生活している人々の日常から、

かなりドラマチックな場面をつないだものだ。

 

 ここに登場してくる馬々は、

10世紀以上も原種が保たれているというアイスランド固有の種類だとか。

 サラブレッドなどに比べると、背が低く、

がっちりした体型の力強い感じの馬だ。

 

 ここで暮らす人たちは、誰もがこの馬を操れる。

 老いも若きも、男も女も。

 

 ポスターは、映画が始まって間もなくのシーン。

 いきなりの馬の交尾の場面には、度胆を抜かれる。

 

 白い馬は、牝馬で乗っている男性の愛馬、

ダークブラウンの馬は、この男性をお茶に誘った女性の所有の馬。

 本当にワンカットだけ撮れたシーンだそうである。

 この馬たちの行動が、人間たちの恋模様に波及するのである。

 

 本当の馬を間近で見た人は、お分かりだろうが、

馬の瞳は大きくて素敵な目をしている。

 その目に映る人間たちのようすを映像として撮っているが、

その目を見ると、人間たちが見られているような気がしてくる。

 

 映画の最後も馬たちで終わるのだが、

最初に出てきた男女の恋のゆくえも見えてくる。

 

 ハラハラドキドキもするし、笑いたくなる場面もあるし、

ちょっと今までにない動物登場の映画である。

 

 因みに、アイスランドは、北海道と四国を合わせたくらいの面積で

人口は、約32万人。

 ヨーロッパ最大の氷河と火山があり、

地熱や水力を利用したエネルギーで環境大国だそうである。

 世界で初めて女性の大統領が誕生したくらいで、

平和度、男女平等度とも、世界ランキング1位の国だとのこと。

 

 最果ての国だと思っていたが、素敵な国だと再認識した。

 

 *Jack & Bettyでは、この映画は、本日で終了。

 いい映画なので、1週間じゃもったいない気がする。