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「ゆずり葉の頃」

 7月の2週目に今年初めてのセミの声を聞きました。

 ニイニイゼミの声です。

 続いて、台風が来る前の3週目に入って、

アブラゼミ、ミンミンゼミ、そしてヒグラシまでが

登場しました。

 いつもセミが鳴きはじめると、

七年前の自分が何をしていたかを思い出してしまいます・

 ただ前へ進むだけであった自分を

ふりかえって行かなくてはならない年になったのかもしれません。

 

 この「ゆずり葉の頃」は、ついこの前まで岩波ホールで上映されていた映画で

ようやく横浜の名画座までやってきました。

 中みね子氏が、初めて監督された作品です。

 彼女は、岡本喜八監督の妻で、彼の映画のプロデュースなどの裏方を

長年やってきた方のようです。

 この映画は、夫を亡くされた後、脚本に5年の歳月を費やし、

ようやく映画となった作品だそうです。

 

 ヒロイン市子は、戦争で夫を失い、一人息子を育てながら生きるために

和服の仕立てを長年やってきました。

 年を取り、そろそろ仕事を引退しようと決心した時、

国際的に有名になっている日本画家の個展が軽井沢の画廊で行われることを

新聞の記事で知ります。

 何としてもその画家の作品を見たいと思い、

初秋を迎える軽井沢を一人訪れるのです。

 

 自分の最後の人生の決断する時に

市子のようなこういう見極め方もあるんだと思いました。

 

 主演の市子役に八千草薫

画家を演じる仲代達也などの顔ぶれもすごいですが、

映画に出てくる劇中画を宮廻正明が描き

バックグランドを飾る音楽を山下洋介が担当するなど

すべてがいぶし銀のような輝きを見せる作品です。

 

 現在と過去が行き来する軽井沢の初秋の空気感、

そして、彼女の夢のような時間を写し撮る映像も美しいです。

 

 ゆずり葉というのは、古い葉から順番に落ちて朽ちていくので、

お正月のお飾りになどおめでたい時に飾られます。

 そろそろ、その順番とやらを意識し始めた私には

心に染み入る映画でした。

 

 来し方をつらつら思っていると、時間ばかりたってしまい、

やるべきことが一向に進まないのが

なんとも情けないというおまけも付きますが・・・・

 

 もう1本、やはり岩波ホールからやってきた

「パプーシャの黒い瞳」も同時に公開されました。

 こっちは、ポーランド映画で、

ジプシーで初めての詩人といわれている女性の映画です。

 モノクロの映像で、その映像を観るだけでもため息のでるような映画です。

 私は、フランスの18世紀から19世紀にかけての画家、

コローの絵を思い浮かべました。

 

 「ゆずり葉の頃」は、7月の31日まで。

 「パプーシャの黒い瞳」は、7月24日まで

 いずれも Jack and Betty での上映です。 

 

  *いつも拙いブログにお立ち寄りいただきありがたく思っております。

   しばらくお休みさせてもらうことにしました。

   また書きはじめましたら、ご連絡いたします。

   暑さ厳しき折、ご自愛ください。