奥多摩の春2

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 いつもは通り過ぎてしまう美術館ですが、’

この日は、春の進みがゆっくりで、仕事がなかったので、

帰りに玉堂美術館を訪れました。

 

 川合玉堂は昭和32年に84歳で亡くなった日本画家です。

 昭和19年からは、この青梅の御岳に居を移し制作活動をしていたのです。

 数年前の12月に来た時は、冬でしたので、

枯れ野の山や、雪が降る山道を描いた作品が展示されていましたが、

今回は、春の明るい色が入った作品に変わっていました。

 

 玄関にあるビデオでも紹介されてましたが、

玉堂は、さらさらっと筆を動かして描くので驚きます。

 十代の頃描いたスケッチがいっしょに展示されていましたが、

植物も鳥も虫もびっくりするほど写実的に描かれていました。

 そういう基礎があったからこそ、速く描くことも可能なんだと納得しました。

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 玄関前の垣根の中の植込みにあった「八角蓮」。

 私は、初めて見ました。

 小さい蕾がヤシの実のように下がっていますが、

花が咲いた後にできる実が中華料理によく使われる星型をした八角だそうです。

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 建物の前は、石庭になっています。

 右側のもみじの緑が美しく、白い石の上に濃い影を作っていました。

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 反対側から見てみました。

 右奥がアトリエになっています。

 イーゼルには、まるで描きかけのように鶴が描かれた絵が立てかけてありました。

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 美術館の前の多摩川の上流方向を見たところです。

 ごつごつとした岩が多く、この辺りから渓谷という感じがしてきます。

 上に見える橋を渡ると、JR青梅線の御岳の駅はすぐです。

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 下流側です。

 玉堂の絵の中にも描かれているつり橋がかかっています。

 昔は木で作られていたつり橋ですが、現在は鉄の橋になっています。

 そのつり橋を渡ってみることにしました。

 

 つり橋の途中から見た川の流れです。

 この辺りは、岩のすきまを縫う流れが結構急です。

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 カヌーが現れました。

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 ちょうど橋の真下です。

 段差もあり、流れが速く白く泡立って見えます。

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 カヌーがあっという間に通り過ぎていきます。

 しばらく見ていると四人乗りのラフティングゴムボートもやってきました。

 しぶきにあたるきらきらした光を見ていると、

もう次の季節がそこまで来ているような気がしてきました。

 

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 橋を通り過ぎたとたんに流れがゆるやかになって

カヌーは左の淀みに入って停まりました。

 そこでカヌーを下り、

それを担いで道を上流へ向かって歩いて行きます。

 しばらくすると、また同じように上流から滑るようにして現れ、

同じことを繰り返しているのがわかりました。

 この辺りは、急流をうまく操る練習にちょうどいい場所なんでしょう。

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 川原に下りるとセリやクレソンがわあっと生えていました。

 セリが生えているところには、なぜか毒ゼリもいっしょに生えているので

どきどきものです。

 大きくなるとはっきりと区別ができますが、

出たばかりの若い葉は間違えやすいのです。

 一昨日そのセリをゆでて食べましたが、何事もなくほっとしました。

 

 

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 対岸から見た玉堂美術館。

 桜が午後の陽を浴びてピンクに輝いて見えました。

 名残りの桜のような気になりましたが、

奥多摩湖まで行くとまだお花見ができるようです。

 

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 この日出会った小鳥。

 杉の枯れ枝の落ちた山道を二羽でせわしく歩いていた「キセキレイ」です。

 胸から腹、それに尾の付け根のところにクリーム色が入っています。

 ハクセキレイはうちの近くでもよく見かけますが、キセキレイは珍しいです。

 チョコチョコ動くので、見られる写真は、これ一枚のみ。

 

 (奥多摩の春はこれで終わりです。)