「みをつくし料理帖」 を読んで考えたこと

 

美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)  天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)

 ブログで紹介されていた「みをつくし料理帖」高田 郁 著を

図書館で借りながら、本日その10巻目を読み終えた。

 まったく予備知識もないまま読み始めたのだが、山あり谷ありのストーリー展開、

それに難しい言葉が使われていないので、のめり込むとあっという間に読めてしまう。

 

 舞台は、江戸時代の大坂と江戸。

 七歳の時に大坂の街が洪水になり、両親を亡くした主人公の澪(みお)の16年間を

描いた物語である。

 江戸の頃としては珍しい女の料理人として生きていく澪の生き様や

澪を囲む人々の庶民の暮らしぶりが生き生きと描かれている。

 

 移り変わっていく自然のようす、裏店と呼ばれる長屋の生活、武家のしきたり、

吉原のきまりごとなど、初めて知ることが多く興味深い。

 

 それに何よりも料理の話が話の骨格を形作っているので、

江戸時代の食材や料理方などが添えられていて、

食べることが大好きな私には、なによりだった。

 一番、心に残ったのは、

「食は天なり」

「人の体は、食べるものによって作られる。」

 という言葉だった。

 ”医薬同源” という言葉があるが、健康を支えるのは食べ物。

 食べ物によって病気を予防し、食べるもので病を治していく。

 

 江戸の頃は、身近にある食材を使い、暑い夏には、体を冷やすもの、

寒い冬には、体を温めるものを提供する。

 具合が悪い人を見れば、病状に合わせた食べ物を食べさせ、

医者が漢方の薬を処方する。

 化学肥料も農薬も使わず、この上なく安全で安心できる食が保障されていたことを

今回改めて認識した。

 

 ガンを患っている知人が、食べ物で免疫力を上げて克服したようすを

目の当たりにした今の私には、すごく身に染みる。

 

 食べ物に求められる一番大切なことは 

「体のためにいいもの、体を健康にしてくれるもの」。

 料理人は、そのために旬の食材を使って、美味しく料理するということであるはず。

 ところが現代は、どうだろう。

 

 旬でないもの、見てくれさえ良ければと農薬を使って栽培したもの、

効率的に添加物を加えて調理したもの・・・、

 値段が安ければいいのではない。

 

 忙しければ忙しい人ほど、外食やインスタント食品など素性がしれない食べものを

口にすることになっていないだろうか。

 食は、まず安全でなければならないはず。

 

 今、国会のTPP特別委員会では、政府が強行採決ありきで

審議時間だけを稼ぐような審議をしている。

 国会の答弁を聞いていても、何の根拠も示さないまま、「大丈夫です。」

「安全です。」を繰り返すのみ。

 

 そもそも中身が知らされていないのに、

「国民が納得するように丁寧に説明する。」

という話は、空虚でしかない。

 

 このままでは、日本は、海外から輸入される安全でない食べ物を口にし、

年月が経って体に良くないことがわかっても条約を破棄することができない。

 

 ご存知だろうか。

 2001年、BSE(狂牛病)に対して、

全頭検査という厳しい検査を要求していた日本が、

今年の9月にアメリカの要求で

検査がすべて撤廃されることに決まったそうである。

 

 植物検疫のお粗末さも以前紹介した通り

大量の輸入農産物の検査をやっていられないので、

もうすでに口に入ってしまった頃、すごい濃度の残留農薬が検出されたことが

わかるなどということもあるらしい。

 ついこの前、輸入されたオクラからは

基準の26倍もの濃度の農薬が検出されたとか。

 

 アメリカでさえ承認できないでいるTPPは、

どこの国も承認作業に入っていない。

 なぜ、日本だけが前のめりになって承認せねばならないのだろうか。

  

 マスコミが放棄して何も報道しないことは、不気味なこと。

 これからを生きる人たちのためになるものかどうか、

下記のサイトで中身をぜひチェックして見てほしい。

  https://www.facebook.com/tpphantai