奄美大島 その2

 

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 朝は、太陽も顔を出していたのに、島の北部を出発して2時間、

一番南の瀬戸内町の古仁屋港へ着くころには、空一面雲に覆われてしまった。

 ここから向かいの加計呂麻島へ渡ろうとしたのだが、

昼を過ぎてしまったので、予定していたフェリーは、既に出港。

 次は、午後2時。

 フェリーは一日3便か4便しかないのだ。

 この日、一人は名瀬市で用があって引き返すので、

ここから先は初めての二人だけで加計呂麻島へ渡ることになっていた。

 そこでレンタカーを借りるためにインフォメーションへ行くと

フェリーのほかに乗合タクシーがあることがわかり、タクシー乗り場へ急いだ。

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 お客さんは、5,6人。

個人でタクシーとしてお願いすると3,000円だが、乗合だと1人350円。

 白い船体のエリザベス号は、加計呂麻島の生間(いけんま)へ

水しぶきを上げて快調に進む。

 15分、あっという間だ。

 港を出て右へ100mくらい歩くとレンタカーやさんがあるらしい。

 看板があるからレンタカー屋さんだと思われる家の前で

 「さっき電話した〇〇です。」

と声をかけると、出てきてくれた。

 名前と携帯電話を記録して手続きは終わり。

 

 ふだん乗っているタイプのギアーじゃなくて不安だったが、

一本道で出会う車もほとんどないので何とか乗ることができた。

 この港は、島の東側で目的地実久(さねく)は、最西端、

やはり1時間くらいかかった。

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 3月に来たという友人のお勧めでやってきたのだが、

空が灰色なので、自慢の海もどんよりしている。

 ここは、「実久ブルー」と呼ばれるくらい素敵な海だというので

やってきたというのにちょっとがっかりだった。

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 打ち寄せる波を見ていると、水が透き通っていて確かにきれいな海だ。

 停留所がある。

 ここまでバスが来るので、トイレもあり、待合室もあるが

人はだれもいない。

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 草が生えて広くなったところにつながれたヤギが1匹。

「三匹のヤギのがらがらどん」の絵本に登場できるくらい

毛足が長くておひげも立派なヤギさんだ。

 

 そばでたき火をしている年配の男性がいたので話しかけると

 「山の上に行くと見晴らしがいい。」とのことだったので、

車で指さされた方向へ行ってみた。

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 夕日の丘と名前の付いた見晴台から下を見ると、

先ほどまでいた実久の入り江がエメラルドグリーンに輝いているではないか。

 うわさ通りの素敵なブルーにびっくり。

 浜辺から見た海の色が冴えなかったので感激もひとしおだ。

 夕日が沈むころだとどんなドラマが見られるのだろうか。

 そんなことを思いながら、帰途につく。

 帰る道々山に自生する植物の写真を撮る。

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 クチナシ                コンロンカ

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 今の時期、奄美の山々に白い花が見えたら、この「イジュ」だと思っていい。

 沖縄北部から奄美諸島の固有種だそうだ。

 ちょっと種類が違うかもしれないが、

小笠原でヒメツバキと呼ばれる花とほぼ同じ。椿の仲間だ。

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 コガネムシが蜜を求めて潜り込む。

 きっと甘い香りで昆虫たちを呼び寄せているのだろう。

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 山のところどころにツツジが咲いていた。

 木は小さいのに、花が大きい。

 名前がわからないが、「ケラマツツジ」かもしれない。

 ケラマツツジなら、奄美沖縄地方の固有種。

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 途中寄り道をして、於斎(おさい)というところでガジュマルを見た。

 島には、もっと大きなガジュマルもあるらしいが、今回は見過ごしてしまった。

 気根の間から静かな海が見えるのは、格別だ。

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 生間(いけんま)の港まで戻ってきたら、まだ時間がありそうなので

車で5分くらいの諸鈍(しょどん)まで行って、珍しいデイゴの並木を見た。

 樹齢は、200年から300年くらいの立派な木だ。

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 赤く咲くデイゴを見ると、沖縄の島唄の歌詞を思い出す。

 今回は時間がなくて回れなかったが、この加計呂麻島にも戦跡がある。

 

 雨が降り始めた。

 何とか降らずにいてくれてありがたかったが、

雲もとうとうこらえきれなくてという感じだ。

 

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 この辺りでは、唯一らしいガソリンスタンドでガソリンを満タンにした。

 ガソリンは、15円離島割引がされていても、リッター175円。

 うちの近所では、125円くらいだったので高くてびっくりした。

 

 レンタカーを返しに行くと、

「留守だったら、カギはフロントの日よけに挟んでおけばいい。」

との話だったが、本当に留守だった。

 島の生活はこんな感じなんだろう。

 レンタカーの借り受けだけで、加計呂麻島の生活を垣間見た気がした。

 

 帰りの船は、5時10分発の「デイゴ丸」。

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 雨が降り出したので、屋根のある部屋に入ったら、

寅さんシリーズのロケに訪れた時の写真と思われる

山田洋二監督と浅丘ルリ子さんと船長さんのツーショットの写真が飾ってある。

そして、その右には話題の安倍昭恵さんのサインが・・・

 

 帰りは、ご飯を食べて帰ろうということになり、

龍郷町(たつごうちょう)にある島豆腐やさん直営の食堂へ行った。

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 お勧めの1700円の島豆腐定食。

 まず、自由に中央にある豆腐や豆乳を食べられる。

 それからこの定食が出てくるのだ。

 左の上の煮ものは、豚の角煮。

柔らかく煮えた大きな塊がゴロゴロっと3個も入っている。

 それを食べるだけでお腹はいっぱい。

 他の豆腐、湯葉、白和え、コロッケ、かき揚げ、

ピーナッツ豆腐(ジーマミー)などいろいろあったが

ご飯を残しても食べきれなくて、お持ち帰りのパックに入れてもらった。

 男性でもきっと満足できる質と量が期待できる。

 (つづく)