宮城県ラムサールトライアングル(伊豆沼内沼、蕪栗沼 化女沼)の旅3

 26日のブログの続きです。

 朝食後、マイクロバスに乗って次の目的地蕪栗沼へ移動しました。南隣の大崎市方向へ30分くらい走ったところにあります。バスを降りて左側の白鳥地区と右側の蕪栗沼のちょうど真ん中の通路を歩いて行きます。

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 赤く色づいたツルウメモドキの間から蕪栗沼が覗けて見えます。たくさんいるのは、オオヒシクイです。

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 北側に山の姿が見えていたのに、一瞬雲が覆って北側から冷たい風が吹き付けてきました。

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 風は見えないはずですが、小さい無数の粒が撫でるように風の模様を描きます。我々は冷たくてマフラーをかき寄せてしまいますが、オオヒシクイたちは平気そうです。

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 オオヒシクイというのは、ガンの仲間ですがマガンよりも大きく体はコハクチョウくらいの大きさです。遠くから色だけ見るとマガンと区別がつかないのですが、朝から田んぼにも行かないでお休み中なのは、ヒシクイは水生植物のヒシの実やマコモを食べるからかもしれません。

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 胸の筋肉がもこっとしてすごいのはハクチョウと同じです。シベリアからやはり4000キロばかりを旅してくるので胸の筋肉が発達しているだと思います。昨年、ハクチョウやオオヒシクイの胸を見て、鶏の胸肉は絶対に力が付くと思ったものです。今年は、食べ物を変えてきているので胸肉もご無沙汰です。

 後ろに立っているのは、ヘラサギです。ガイドさんが、「ヘラサギは、なかなか見られないんですよ。」と話していましたが、昨年もたった一羽のヘラサギがここにいて、やっぱり「珍しい鳥がいます、ヘラサギです。」と言っていたのを思い出し、2年続いて見られたのはすごくラッキーなんだなと思いました。ところが、このヘラサギは、ヘラサギの一番の特徴の嘴を見せてくれないんです。望遠鏡を合わせて見せてくれている間、ちっとも動かないんです。

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 15分くらい経ったとき、ようやく歩き出しました。「しょうがないな、ちょっと見せてやるか。」とばかりにヘラを見せながら数歩前進。結構大きなヘラです。このへらを左右に動かしながら水の中の小さな生き物を食べているのだそうです。

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 オオヒシクイがみんなお尻を向けている前を一羽歩いているのは、なんだろうと思っていましたが、一見去年見たハマシギかと思うような体の色ですが、少し大きくくちばしも長いような気がしました。ガイドさんから「ツルシギ」だと教えてもらいました。うちへ帰ってから調べたところ、夏の羽の色は、背中辺りは黒だそうで、もっとはっきりとした色合いのようです。冬はどの鳥もグレーだとかベージュだとか自然の中に溶け込むような色になるようです。

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 かなり距離があるので、ボーっとしか写せません。ツルシギは、三羽いました。

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 最後は、オオハクチョウが沼の中に首を突っ込んで、マコモの地下茎を食べているところです。ハスも好きなのですが、マコモは大好物なんだそうです。真っ白い首も台無しですが、すぐに汚れが取れるようです。

 ここは、伊豆沼よりもずっと全体像が見やすく、鳥たちの自然な姿がより身近に見られて私はとても気に入っています。ヨシ原にいる小動物をねらってチュウヒやオオタカを見ることができましたが、猛禽類を見たい人にとってもいいポイントだそうです。マガンは、日の出と共にまわりの田んぼへ食事に出かけていてこの時間はいませんが、日の出の飛び立ち、日暮れのねぐら入りは伊豆沼と同じように今年も7万羽を越える数が飛来しているそうです。

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 最後の化女沼です。蕪栗沼から西の方向へ行ったところです。三つの沼を結ぶとちょうど三角形が描ける位置にあるところから、トライアングルと呼ばれているのです。

 化女沼は、左側がダムとなっているのでなんだか自然の沼っぽく見えませんが、右側が沼です。ゆっくりと沼のまわりを歩くことができるといいのですが、このツアーでは無理のようです。

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 ここにももっといろんな鳥がやってきているはずなんですが、遠くてよく見えません。望遠鏡でようやく見えたのは、首が緑色のマガモカルガモ。浮きが並んでいるとことろにいるのはカワウです。去年もここでは、オオバンキンクロハジロホシハジロが見えただけ。もう少し寒くなるとパンダガモといわれるミコアイサもくるそうですから、季節を変えて再訪したいものです。

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 最後に、もう一度伊豆沼方面へ戻って、田んぼの中の道を車で通ってマガンを近くからもう一度見てみました。本当に用心深い鳥で、車から降りようとすると首をパッと挙げて一斉にこちらを見て、それ以上こちらが動くものなら一斉に飛び立ってしまいます。今回は、窓からそうっと写真を撮りました。「雁首をそろえてやってくる。」という言葉は、一斉に群れが首を上げてこちらを見るマガンのようすからできた言葉だそうですから、かつては日本のどこでも見られた鳥だったということがわかります。「がんもどき」も同じようにガンの肉に似せて作ったものだということですから、日本の食文化にも貢献した鳥だったと思うと興味深いです。

 今年ようやくわかったのは、マガンの額は白いということ、マガンの成鳥は胸に黒い模様があるけれども、幼鳥は模様がないということでした。オオヒシクイとマガンが並ぶところが見られないので、さっと区別できるかまだわかりませんが、来年くればまた新しいことがわかるかもしれないと思っています。最後に農産物直売所に寄ったりしているうちにみぞれっぽい雪が降ってきました。私にとっては、この冬初めての雪でした。

 これで今回の旅のブログは終わりです。