茅ヶ崎里浜の植物観察会

  

 7月の観察会は8日の土曜日だった。

 毎月場所を移動して砂浜の状態と植生の状態を観察している。

 この日は、浜須賀防災無線塔が立っているところに集合してそこから西の方を歩く。

 

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 この日も天気は上々。浜へ出てみるとたくさんの家族連れが波打ち際で遊んでいる。 どうも町内会のレクレーションという雰囲気だ。

 約束の時間よりずいぶんと早く着いたので様子を見ていると声がかかり、移動が始まる。どうも観光地引網のようだ。

 

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 集まった人たちは、漁師さんの指示で両側に分かれ、綱を引っ張って行く。なかなか本体は現れない。ひたすら引いていく。

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 やっと網がやってきた。昔は、網目があるものだったような気がするが、布の袋になった本体だ。黒いところはチャックになっている。

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 チャックを開くと中からあふれるほどの魚が現れ、歓声が上がる。それを漁師さんが網ですくって水色のポリ樽に入れていく。

 

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 ほとんどはアジだが、サバの小さいのやごくまれにカマスなんかも入っている。

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 底の方に入っていたのが生しらす。これはほしい人が手を出してそのまま食べていた。

 なにせこの日は大漁だったようでこの樽に10杯以上の魚が取れていた。1人何匹ずつかわからないが、分け前は十分だろう。とれたてのアジのたたきにしたり、焼いて食べたり、この日の家庭の食卓はさぞにぎやかだったに違いない。

 魚の観察に来たのではないがこんなハプニングも見ているだけで楽しい。

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 さて、本題に戻って、浜須賀あたりの砂浜は、漁港付近やハイランド付近に比べて狭くなっている。

 風や波の影響を受けやすいのか、砂浜が浜辺からすぐせり上がって形成されている。

 その最前線はやはりコウボウムギハマヒルガオとコウボウシバだ。こうやってみていると彼らがやっていることがよくわからないと思うが、

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 砂がえぐれたところを見てみると、その舞台裏がよくわかる。地上に出ている茎の長さの何倍かある根を縦にも横にも縦横に絡みつかせるようにして砂を押さえる働きをしている。一番過酷な場所を選んで砂の移動を防いでくれているのだ。ほんとうに縁の下の力持ちといってもいいだろう。

 こういう働きがある海浜植物は、東北大震災があった東北の海浜津波などの災害を少しでも軽減していく力があるのではないかと防災という観点からも見直されているのだと聞いた。

 このことは以前座学で聞いたことがあるのだが、こうして本物を見て感じるのとではずいぶんと納得の度合いも違ってくる。

この日観察できた植物

ハマボウフウの実 白い花がすっかり茶色く結実している。

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ハマヒルガオ はなは少ないがまだ可憐な花をつけている。葉はハート形。

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ハマニガナ ニガナはまだ結構咲いている。葉がイチョウに似ている。

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 海浜自然生態園でトイレ休憩と吸水。私はここは初めてだ。

 ここの庭には海浜植物がたくさん植えられている。浜辺の過酷な状況のところに生える強い植物なのに、今や人間が保護していかないと絶滅の危機に瀕しているものも多いという。ここは、その保護施設の一つ。そこに咲いていた花。

ハマゴウの葉ノカンゾウ           ハマエンドウ

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 最後にもう一つ予期せぬ出来事。

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 観察が終わって浜須賀の防災無線塔があるところへ戻ると、びっくりするほど大きな鯛がまな板にのっている。聞いてみると、地引網の二回目の網にかかっていたのだという。さばいている手元をじっと見ていたら、私たちの手のひらにそのタイの切り身をのせてくれた。思わぬプレゼント。醤油とワサビがあったら最高だった。