南三陸町への旅1(ラムサール条約登録湿地・志津川湾ーコクガンを訪ねて)

 お正月にインターネットで「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター」のお知らせを見ていたら、「コクガンの観察と講演会」という企画がのっていたので慌ててチェックしたのがこの旅行のはじまりです。

 

 コクガンというのは、同じような仲間を入れると結構な数いるらしいのですが、アジア太平洋地域を越冬地にしているのは、世界的に見ても8000羽くらいで絶滅危惧種と言われている鳥です。そのコクガンが南三陸町志津川湾に毎年200羽から300羽くらい越冬地としてやってきているというのです。越冬地の南限です。

 

 昨年の10月、この志津川湾が新しくラムサール湿地として登録されました。宮城県では①伊豆沼・内沼、②蕪栗沼、③化女沼に加え、4番目となります。これを記念しての観察会と講演だということで、めったにない企画であるということと、今のうちに行かないと本当に体が効かなくなったら行けなくなるという焦りも手伝っていくことを決心したという次第です。


  南三陸へは、2012年夏に気仙沼まで行った時に通ったことがあります。気仙沼線は途中から線路が流されていたので代行バスを使ってしか行くことができませんでした。南三陸ばかりではありませんが、どこも土台のコンクリートだけが残る夏草の生える空き地が続き、建物の屋根の上に船が乗っかっている姿も見えました。内陸の登米町から南三陸へ入り前が開けたとたん青い海がきらきらと光り緑の島が見えた時は、津波で被災さえしていなければなんて美しいところなんだと思ったものです.。

f:id:yporcini:19800101000019j:plain

 2012年も同じルートで行きましたが、仙台までは新幹線、東北本線に乗り換え、小牛田(こごた)まで行き、この2両編成のワンマンカーに乗り換えです。以前も驚きましたが、電車でもワンマンカーです。運転手の横に整理券があるので、乗る時は1両目に乗ります。もちろんドアはボタンを押して自分で開け、寒いので長い停車時間になる時は、後ろから乗る人に気をつけてボタンを押して閉めます。無人駅の場合は運転手が切符を受け取ったり一人で何役もこなすので結構大変そうですが、お客さんが少ないので何とかなっているようです。

f:id:yporcini:19800101000007j:plain

 前谷地という駅で、気仙沼線石巻線が分かれます。気仙沼線といっても次の柳津という駅までしか駅がないのですが、一応乗り換えなんです。前谷地か次の柳津でこのBRT(JRの線路のあったところを舗装して作った鉄道バス専用道路です)に乗り換えます。今回は、次の柳津で乗り換えなければいけなかったのに、ワンマンカーの運転手さんが「ここから乗り換えた方が早いですよ。」と盛んに勧めるので乗り換えずに降りてしまいました。ところがこの駅の駅員さんに「この時間帯は、ここからはBRTが出ないから1時間半以上待つことになるよ。」と言われ、ショックでした。この日は雪がちらちら舞っていたので、とても寒かったのです。小さな電気ストーブが置いてある駅舎で待つこと1時間半、このバスに乗りました。

 

 この日は、26日の前泊だったのでお宿に直接チェックインするにはちょっと早いようなので、「さんさん商店街」のある志津川まで行ってみました。本当は、そこでイクラがどっさりのった「きらきら丼」をお昼に食べようと思っていたのに、残念ながら到着したのが3時を回っていたので、お店は休憩時間に入っていて叶いませんでした。仕方がないので、牡蠣コロッケとタコのから揚げをつまんでやり過ごしました。

f:id:yporcini:19800101000027j:plain

 ここにモアイ像が飾られています。チリ地震津波で壊滅的な被害があった志津川チリ共和国はその時から繋がりがあるのだそうです。今回の津波でも大きな被害を受けた志津川に思いを寄せ、イースター島から黒曜石とサンゴの目が入ったモアイ像が特別に贈られたそうです。そのうちの1体がこの商店街に立っています。「モアイ」というのは、イースター島の言葉で「未来に生きる」という意味があるそうです。

f:id:yporcini:19800101000103j:plain

 来月で被災してから8年になりますが、商店街のすぐ横は今も工事が続いています。志津川地区は湾の一番奥まったところで、被害も大きかったのだと想像できますが、全体を10mかさ上げする工事がまだ終わっていないので、街がどうなるのかも見えてきません。

f:id:yporcini:19800101000037j:plain

 この写真が被災した直後のものです。川の堤防がずっと低く、向こうに見える防災センターの建物の高さが違っているので、盛り土のようすがわかると思います。これが被災地の8年目の姿です。

f:id:yporcini:19800101000008j:plain

 これは、志津川のBRTの駅です。この辺りは普通のバスとあまり変わりがありません。一応、トイレと待合室兼乗車券売り場があって1人駅務の女性がいました。食べるところを教えてくれたりとても親切に応対してくれます。途中からかつては線路が敷いてあったと思しき狭い道(単線ですから)に入ります。10分くらいで宿の最寄りのBRTの駅に到着です。
 

 今回の観察会と講演会は、戸倉地区にある「海のビジターセンター」で行われることになっていましたので、ビジターセンターへ歩いても10分足らずという道のりにある民宿に泊まることにしました。BRTの駅から歩くと約一時間かかるというので、宿の方に迎えに来てもらうことにしました。住民バスというのがウイークデーには一日3本のみ通るらしいのですが、時間外は歩くかタクシーしか手段がないという不便なところです。

  突然ですが、この日の夕食です。

f:id:yporcini:19800101000050j:plain

 ご主人は漁師さんだそうで、民宿は奥様が1人でやっていらっしゃいます。海の幸がこれでもかというほど出るのでびっくりしました。

 味噌汁は、毛ガニとひっつみ、大きいお皿は、タラバガニとつぶ貝?と枝豆、手前のはメカジキのカマの煮つけ

f:id:yporcini:19800101000126j:plain

左から ホタテの焼き物、刺身の盛り合わせ、アワビの刺身

f:id:yporcini:19800101000135j:plain

 左手前からホタテとキュウリとワカメの酢の物、茎ワカメとニンジンの炒め物、メカブの耳(一瞬ピーマンかと思います)、おでん、レンコンとワカメと生ガキの酢の物、もやしとハムのあえ物

 とにかく全部は食べきれず、メカジキのカマ、おでんは一つも手を付けず、後はタラバガニ、アワビなどチョコチョコと残してしまいました。ふだん野菜が主な食べ物なのでちょっと胃腸がびっくりしていたようです。

 続きます。