太平湖の清水桟橋で船を下してもらい「小又狭」の散策へ向かいました。7月は初めてとはいえ、4人でしたし上流からの帰りのハイクの方が何組かいらしたので、不安はありませんでしたが、今回は一人です。
再びここへ来たのには自分の中では二つのわけがありました。
一つは、もちろん紅葉の小又狭を見ておきたいという気持ちです。もう一つは、理由になっていませんが10月初旬にこの散策路で起きた事故に引き寄せられたということです。
この事故は、新聞でも報道され、同じ場所を歩いた私や友人にとってはかなり衝撃的な話でした。参加した私と同じくらいの年齢の女性とその方に付いていたガイドさんのお二人が亡くなられたのです。
事故が起こった日は森吉山へ登る予定だったツアーがその日悪天候のため小又狭に変更になったのだそうです。高低差もなく歩く距離も短いのに、増してベテランの山のガイドさんが付いていたのに と不思議でなりませんでした。
そこで思い出したのが、この辺の川が一枚岩でできているという話でした。川の側面も川底も岩なんです。いったん雨が降り始めるとしみ込まないので、降った分がすぐに流れてしまうのでしょう。
川の右から左へと渡る飛び石を渡っている時に急激に増えた水の流れに足を取られ、川へ落ちてしまったのではないかと思われます。
ツアーに参加された方は、早く遺体が発見されましたが、ガイドさんは下流の甌穴のの底に沈んでいたので三日後になって見つかったのだそうです。
亡くなられたガイドさんは、7月に私がけがをした際に応急手当てをしてくださったガイドさんと同じ事務所の方で因縁を感じた次第でもあります。
この散策路には、落差が小さいけれどもいろんな名前がついた個性的な滝があります。が、何といっても、どん詰まりにある「三階の滝」がハイライトです。
落差は、三階分で20mくらいだということです。
これ以上覗くと滝つぼに落ちそうです。2段目の水量はかなり迫力があります。
もみじは赤いだけでなく黄色いのもくっきりはっきりとしています。
散策中逢えたのは、カワガラス二羽と小さなリンドウ。どちらも紅葉とは反対の青というか紫というか、おまけです。
そろそろ桟橋へ近づいてきました。1人だけなので船長さんが心配しているだろうからあまりのんびりもしていられず、予定より20分ばかり早く桟橋に着くと、ちょうど船が近づいてくるところでした。最後のツアー客をたくさん乗せて私が早めに戻ってくるのを見越して10分ばかり長く観光していたようです。
散策中、だれとも逢わず、川底の甌穴や深い淵を眺めながらさぞ苦しかっただろうと思いながらのハイクでした。船が桟橋に着く頃、雨がぽつぽつ降ってきました。事故の後の散策でしたので空を見上げながら降らずによく持ってくれたとありがたく思いました。
(続く)