ある過去の行方 (The Past)
4年間別居していた夫アーマドが妻マリー=アンヌの求めに応じ
イランからパリへ離婚の手続きのためにやってくる。
元のうちへ帰ってくると、そこには、もう新しい家族が住んでいることを知る。
裁判所での離婚手続きはスムーズに終わるのだが、
アーマドは、長女が、この新しい家族にうまくなじめていないことを知り、
マリー=アンヌに頼まれ、何とか説得しようと試みるのだが、
話を聞いていくうちに思いもよらない事実が出てくる。
アーマドとマリー=アンヌの間に、
新しい恋人とその妻との間に、
元妻と新しい恋人の間に、
そして親に振り回される子どもの中に、
それぞれが持つ過去を抉り出しながら、
心の深いところにあるものを
次々と映し出していく。
何が真実なのか、
ドキドキするようなサスペンス風に仕上げている映画である。
ラストシーンは印象的。
マリー=アンヌを演じたべレニス ベジョは、カンヌ映画祭で主演女優賞を受賞。
監督は、”別離”でアカデミー賞外国語映画賞を取った
”A ファルハディ”が、初めて外国にカメラを据えて撮った映画。
(*この映画は、6月20日までシネマJack & Betty で上映中)
チョコレートドーナッツ
1970年代のアメリカであった実話を基にしてして作られた作品である。
1979年、カルフォルニアが舞台。
まだまだ同性愛について、偏見が今よりももっと強い時代だった。
シンガーを夢見ながらもショーダンサーで生活を立てる ルディ。
ゲイであることを隠して生きる弁護士 ポール。
母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年 マルコ。
この3人が寄り添って、家族として幸せに暮らしていくのだが、
ルディとポールがゲイであるために
法と社会の偏見によって
3人の生活は、壊されていく。
マルコを必死で守ろうと奮闘するルディとポールの姿に心動かされる。
この作品は、アメリカをはじめ10か所の映画祭で賞を取っているが、
その賞のほとんどが観客賞だということからも
多くの観客に支持された映画だといえる。
マルコが好きだったものは、
人形のアシュリー、ディスコダンス、ハッピーエンドのおとぎ話、
そしてチョコレートドーナッツ、だった。
(*この映画は、Jack&Bettyでは終了している。)