北海道の旅 その7 白老

 ウポポイは、アイヌ語で「(大勢で)歌う」という意味で、この施設の愛称として使

われている。

 トゥレㇷ゚は、日本語で「オオウバユリ」のことで、地下で太らせた鱗茎を使って

でんぷんを取り、主食として食べていた大事な食糧だったそうである。

 キャラクターなのでトゥレㇷ゚に小さいという意味のポと呼びやすいように「ん」を付

けた造語だそうだ。

 

 2日目は、まず「イカㇻ ウシ」工房で「イカㇻカㇻアン ㇿ」刺繍体験の参加申し

込みをし、「テエタ カネ アン コタン」伝統的コタンを歩いてみた。

 ポロ チセ 大きな家だ。想像よりずっと大きいので、こんなに大きな家があったの

かとお聞きしたら、これは特別に大きくしたものだそうだ。

 真ん中にはアペオイ 炉が切ってある

 部屋の上座の向かって左側には花ござの前に棚があり、そこにたくさんの「イコㇿ」

宝物が置いてある。漆塗りの桶だとかお膳などがあり、壁には宝刀やイナウ がかけて 

ある。

 ポロチセより小さなポンチセ。外観は地域によっても違う。ここのチセは、カヤでで

きているようだが、旭川の博物館で見たチセは、外壁がクマザサを束ねたものでできて

いた。

 コタンには、人が生活するチセだけでなく、倉庫(右側)やクマを飼っておく檻(左

側)もある。

 1                 2

  

3                  4

  

1ヒエ、2アワ 3キビ 4ダイズ 

 いつ頃から作っていたのかなどわからないが、コタンで作られていた作物として チ

セの横に植えられていた。

 チセの中でござの作り方の実演を見せてもらった。石に糸を巻き付け、石の重みをう

まく使ってござを編んでいく。

 ポロト湖にチプと呼ばれる丸木舟も浮かべ操る実演もあるが、同じ時間に始まる植物

と暮らし紹介「コタンの樹木案内」の方に申し込んでいたので、見ることはできなかっ

た。

 この日の申し込みは少なかったようで、私のほかにはもう一組のご夫婦だけだった。

 案内人は、若い青年だった。

 まず一番初めは、アイヌにとって一番大事にされているカムイに捧げるイナウを作る

材料となる木についてである。

 

 

ウトゥ カンニ=ミズキ

 

1 普段使いのイナウニの材料は、スス=オノヤナギ(生命力が強いとされる)

 ようじ、解熱のための炎症剤として使われる。

 

 ウトゥ カンニ=ミズキの木肌は白いので、カムイの世界で銀となるため

 銀のイナウとして大事にされている。

 

3 シケレペ=キハダ キハダは木肌が黄色っぽいため、カムイの世界では金となるた

 め金のイナウとして大事にされている。

 

 

アッニ=オヒョウ

 5月から7月の頃、この木の樹皮を下の方から剥いでその繊維で糸を紡ぎ布を作って

いく。できるだけまっすぐな木を選び長く樹皮を剥いで長い繊維を取ることがいい織物

を作るには大事である。繊維を取るためには、長い工程が必要で、衣服を作り上げるま

でには何か月もかかる。アッニの葉っぱの先はいくつかの尖りがあるのが特徴。

 ガイドさんが見せてくれたアッニで織った布。

 

 その他の紹介

ランコ=カツラは、丸木舟やお盆や臼に加工される。粘りが強いので細かい細工に適し

ている。甘味料にも使われる。

 

チクペ二=イヌエンジュは、墓を作る木。倒れるまで3年くらいかかるそうだ。その間は、外出もできないし再婚もできない。不自由な生活を送らねばならない。

 

ソコン二=エゾニワトコは、同じく墓に立てるために使うのだが、こちらは変死した人

に使うものだそうだ。立てた木は朽ちるまでに1年くらいかかるが、その後は自由に生

きてよいのだとか。

 アイヌの死生観が墓に立てる木にも反映されている。

 

 4つの木の紹介で、約束の1時間が終わってしまった。ただ見ただけではわからない

アイヌの生活と深い結びつきがわかってとても楽しい時間だった。

 

 お昼も近かったので、入口の近くにあるカフェ リムセに行ってみた。

チェㇷ゚オハウセット、
鮭と野菜の煮込みスープ、キビご飯、小鉢、漬物、野草茶

  今日は、ここまで。

 (つづく)