北海道の旅 その8 白老

 お昼を食べた後は、予約をしておいた刺繍体験に参加するために イカラウシ=工房

へ向かった。コースター(無料)とあずま袋とマスク(どちらも1000円)の中から

一つを選んで刺繍する。

 

 私は元々指先が不器用な上、眼が悪くなっているので、一番簡単そうなコースターを

選んでみた。コースターの色は、赤、刺繍糸は黄緑を選んで刺した。刺しはじめと刺し

終わり、それに尖っているところがイレギュラーだが、あとは鎖状に刺していくだけ。

 難しくはないが、糸を引く加減がつかめずどうしても滑らかにいかない。 

 鎖を刺しながら、そういえば昔こんな刺繍をやったことがあったなあと、ふと思い出

した。まだ40代の頃、せっかく教えてもらったのにやりかけをそのままにしていたこ

とがあった。うちに帰ってガラクタの中を探してみたら見つかった。

 今も昔も不器用に変わりはないが、二色使いなのでよりアイヌの文様に近い気がす

る。

 自分でほんの少しだけ刺繍をすることで博物館に無造作に飾ってある着物の出来上

がるまでの時間や仕事の丁寧さ、果ては心の込め方まで感じ取れる。下手でもやってみ

ることには意味があると改めて思ったしだい。

 庭をぶらぶらしていると、フジバカマの花にチョウがとまっていた。まだ見たことが

ないチョウだ。タテハチョウの仲間だろうと見当は付けていたが、うちへ帰って調べて

みたら北方系のチョウで本州では標高の高いところ、東北から北海道では平地でも見ら

れる「クジャクチョウ」だと分かった。道理でうちの近くでは見かけないはず。

 

 羽の内側は、大きな 目玉のような派手な模様が4つも付いているし、赤茶色、水

色、黒、白と派手な色使いなのでクジャクチョウと名付けられたのだろう。外側は、黒

っぽい茶褐色で目立たない。

 ちゃんと撮りたかったが、近づいたとたん逃げられてしまった。それでもこのチョウ

を見つけたのは貴重。

 

 結構疲れていたので、ウポポイの見学は終わりにした。今回は食事なしの泊りなの

で、帰りがけ夕飯を調達に地元のスーパーに寄り、お弁当と果物を調達した。

 駅からちょっと寄り道をして海へと出てみた。

 歩くこと20分くらい。海岸には漁港など目立った建物は何もない。東側を見ると苫

小牧方面に工場らしき建物が見える。海の手前は、海岸に沿った道路があるが、行き交

う車のスピードにびっくりする。北海道の車についてはうわさを聞いてはいたが、高速

道路並みのスピードだ。

  

 目の前の砂浜にたくさんの海鳥がいた。魚が上がってくるのを待っているのだろう

か。カモメかと思っていたが、くちばしと脚の色で見るとたぶんウミネコのようだ。

 茶色の幼鳥もいる。ほかの成鳥とは反対を向いているので、一羽だけ目立っていてな

んだかかわいく見えた。

 疲れていて、砂浜に下りて海浜植物を見る気力がなかったのでそのまま宿へと帰っ

た。

 

(つづく)