9月16日は、あいにくの曇り空。予報では雨は降らないとのことだったが、重たい雲が空を覆っていた。
この日は、茅ヶ崎から初めて藤沢市へ入る。辻堂海浜公園の前の浜だ。向こうに見えるのは、江の島。
西の方向を見ると、砂浜に砂草がほとんど見られない。この辺りは、波打ち際から砂丘の上までの長さがおそらく80mくらいあるのではないかと思うのだが、砂がむき出し状態で、しかも車のわだちが続いている。このあたりでもかつてはアカウミガメが上がってくることがあったそうだが、こんなわだちがあると、ウミガメが余計なエネルギーを使わざるを得なくて海へ戻れなくて命を落とすこともあるという話を聞かせてもらった。
それでもところどころに緑がみえるところがあった。
これは、ハマゴウの群落。草本でなく木本の植物だ。茅ヶ崎の有名な浜降祭にも昔から使われているこの土地の植物なのでできればもっと増やしたい植物だ。
ハマゴウは、7月に咲く花なのでほとんど花がないけれども、たった一輪咲いていた。ムラサキの花だが、葉で隠されていてよく見えない。
これは、ハマボウフウの若芽だ。春に芽吹くのだが、秋口にも発芽するのだとか。
まだ少ないので、取って食べるわけにはいかないが、食べごろのやわらかい葉だ。
波打ち際からだいぶ離れていたが、砂浜の最前線を担うハマヒルガオとコウボウムギがやっぱり生えていた。穴が開いているのはカニの巣穴だろうか。
この広い砂浜にほんの一握りの砂草しか生えていない寂しい地域だ。
このハマボウフウもハマヒルガオもコウボウムギも初めて出会ってから2年も付き合っていると芽を出しているのを見るだけでかわいいという感情が湧いてくるから不思議だ。風を受けても波をかぶっても砂に根を張って頑張りぬくところに惹かれてしまったようだ。
この寂しい砂浜なので、帰りに波打ち際を歩いて貝殻や石を探して歩いた。
左の薄いピンクの大きな貝は「ワスレガイ」という名前で、あさりのようでもあり、ハマグリのようでもあるが、味はハマグリに近いそうだ。子どもときに、この浜の潮だまりでこの貝をみつけてうちへ持ち帰ると潮汁にしてくれたと教えてもらった。
右側の渦巻き状の貝の名前は失念してしまったが、味噌汁に入れたそうだ。
打ち寄せられているものを見ていたら、目の端に何やら動くものを発見。砂に似通った色、ちょこまかと動き回る。それだけでチドリの仲間だということはわかったが、名前がわからない。
とにかく動きが速い。ちょっと離れたところを追いかけてみたが、ぼけた写真しか撮れない。
辛うじて正面の胸の色まではこれでわかった。
茅ヶ崎にきて見たことがある鳥は、トビとカラス、それに時々カモメくらいなのでこれだけでも大収穫。
今は、南へ越冬しに帰る鳥たちの渡りの季節。おまけに夏仕様と冬仕様の羽の変わり目なのですぐにはわからず、結局はうちで図鑑を見て名前を判定した。
おそらく「シロチドリ」だろう。シロチドリは日本の各地にいるのだそうだが、北の方にいたシロチドリは、冬になると南下してくるのだという。
このチドリ、この辺りを縄張りにしているチドリなのか、寒くなってきたので東北の方から南下してきたのか、たった一羽エサをついばみながら歩いていた。サーファーが数人歩いてきたのでパッと飛び立って行ってしまった。
今年最後の観察会でお土産をもらった気分だった。