月曜日は、東京地裁へ

 この日は、TPP交渉差し止め・違憲訴訟の第3回口頭弁論の日でした。

 連日の都心への外出は、老体には少々応えます。

 それでも、私はやっぱりこのTTPに無関心ではいられないのです。

  f:id:yporcini:20160222134552j:plain

 午後1時半から正門前で、TPP差し止め・違憲訴訟の会の集会がありました。

 司会は、元農林大臣だった弁護士の山田正彦氏です。

 彼は、民主党政権がTPP参加を決めた時点で、農林大臣を辞職した人です。

f:id:yporcini:20160222134658j:plain

 この日の口頭弁論で陳述を予定されていた3人の方の挨拶などがあり、

 その後、傍聴希望者の抽選がありました。

 (私は、前回傍聴ができたし、今日は外れでも仕方ないかな)と思っていたところ、

また当たりで今回も法廷に入ることができました。

 

 今回も原告弁護団が裁判の口頭主義、直接主義の意義について

何度も繰り返し述べることで、渋っていた裁判長も、一度休廷した後、

3人の裁判官の合議を経て

この日は、一人2分ずつ、弁護団の意見陳述を含めて20分以内に納めるなら

許可しましょうということになったのです。

 その大体の内容です。

 陳述のお一人目は、元外務省国際情報局長だった孫崎 亨氏です。

 

 憲法41条で定められているように、国会が唯一の立法権であるにもかかわらず、

TPPが通れば、TPPに合致するように

国内法を変えるなり、作るなりしなくてはならなくなる。

 また、憲法76条で裁判所が唯一の司法権であるとされているにもかかわらず、

国内の裁判所が出した決定が外国投資家にとって不利だと思われたら

TPPでは、日本の司法の頭を超えて、

国際仲裁裁定に持ち込まれ、その決定に従わざるを得ない。

 これでは、日本の統治機構そのものが損なわれ、憲法違反になることが明白。

 

*このことは、ISD条項といわれ、これまでFTA(二国間協定)やNAFTA

アメリカと結んでいる国が、この裁定に持ち込んだ案件のほとんどが

投資家の勝訴となり、莫大な賠償金が国から支払われている実態がすでにあり、

この裁判の費用もバカ高いのだそうです。

 

 お二人目は、アトピッ子の会の代表の方です。

 

 アトピーの子どもたちを食物アレルギーから守るため活動してきた結果

ようやく2000年に厚生省がアレルゲン品目5種類が100g中0,01g以上の場合は

表示がされるようになったところなのに、

TPPになると、基準そのものが各国まちまちなわけで、それを調整するのは

かなり難しいと思われる。

 また、その表示をすること自体が投資家にとって

貿易阻害とみなされるようになると、

表示しないといけない科学的根拠を示さない限り、

今の状態を維持することが叶わなくなる。

 科学的根拠というのは、何年もかかって調査をしないと出てこない。

 アトピーの子たちにとっては、憲法で保障されているはずの生存権そのものが

脅かされることになる。

 まさに命の問題であると言わざるを得ない。

  

 3人目は、生活協同組合PAL  SYSTEMの代表の方です。

 

 食物の添加物が、現在日本の場合800、アメリカの場合3000といわれている。

 また牛などの家畜に使われているホルモン剤の有無 GMO遺伝子組み換え作物など

についても、世界的な基準がいろいろなので、

情報共有化委員会のようなものが作られるようだが、

その場で、さらに日本の基準が貿易障壁になるから、

基準そのものを悪い方へ下げなければならなくなったり、

生産国の情報の表示をしないようにしなければ

これまたISD条項をちらつかせ、脅迫されるのではないかとの危惧を持っている。

 これでは、食の安全を守れない。

 憲法の決定権、生存権が奪われることになる。

 

 陳述者にとっては、15分くらいにまとめていたものを急に2分といわれて

本当に気の毒な気がしましたが、前回より前進したことはよかったです。

 

  傍聴できなかった人は、衆議院第一議員会館の大会議室で

「TPPが各国に与える影響」と題する講演が行われることになっていました。

 講演者は、サンヤ・レイド・スミスさん。

弁護士であり、ジュネーブのサード・ワールド・ネットワークの

法律アドバイザー兼上級研究員だそうです。

 もうお一人は、トーマス・カトウ氏

国際コンサルタント、米国法曹協会会員 著書に「TPP 米国の視点」

 

 詳しいことは、下記のフェイスブックを見てもらえればと思います。

 https://www.facebook.com/tpphantai/  

 

 アメリカは、まさに大統領選挙戦の真っ最中で、

民主党の候補者は、雇用が確保できないから賛成できないと言っているし、

共和党の候補者は、この内容では、アメリカの投資家の利害に合致しないので

再交渉を要求している状況です。

 TPPは、アメリカが入らなければ、成立しないのです。

 

 それにも関わらず、

日本では、すでにTPPが通ったものとして、

その内容が全体に周知徹底しないうやむやの状態のまま、

農業への補助金なども早々と予算に組み込み、着々と先取りをしています。

 

 本当にこのまま日本が突き進んだら、

20年後の日本は、目も当てられない状態に変わってしまうのではないでしょうか。