26日に、東京都小平市にある平櫛田中彫刻美術館に行ってきました。
ここは、平櫛田中(ひらくし でんちゅう)が、
98歳から生涯を終える107歳まで住んでいた住居を記念館とし
同じ敷地に建てた美術館に作品を展示しています。
田中(でんちゅう)とは、名前が珍しいと思っていましたが、
生まれた家の姓が田中(たなか)で、養子に入った家が平櫛(ひらくし)だったので
どちらの姓も名前にしたというわけです。
彼は有名な彫刻家です。
岡山県の現在の井原市に生まれ、若い時は人形師の下で彫刻の修業をし
上京してからは、高村光雲の門下生になり、岡倉天心とも深い交流があったようです。
玄関の前にあるクスノキです。
このクスノキは、ここへ越してから2年後といいますから ちょうど100歳の時に
九州から取り寄せたものだそうですが、作品になれませんでした。
100歳を超えてもなお制作を考えていた彼の情熱を物語る象徴として
ここに屋根をつけておかれているようです。
住居の庭の写真です。
梅がお好きだったのか、梅の木が何本も植えられていました。
庭の南側には、玉川上水が流れています。
青い空に両手を広げた欅の木が武蔵野の風情を醸し出しています。
大きな白梅は、小平の銘木100選に選ばれている木だそうです。
福寿草もちょうど咲き始めていました。
庭は、手入れが行き届いていて、とても気持ちのいい空間になっています。
アトリエや茶室などもあり、平屋の素晴らしい邸宅です。
写真が撮れないので紹介できませんが、
季節がらお部屋の中には、内裏雛が飾られていました。
作品は、数多くありますが、今回の春の展示では、彼が所蔵していた
日本画の作家さんたちの春を題材にした作品が飾られていました。
入場券の写真にある「鏡獅子」は、国立劇場に飾られているので、
よく目にする作品だと思います。(私も唯一見ていた作品でした。)
約20年の歳月をかけてつくって完成させたということですから、
彼の制作にかける情熱は、生半可なものではないことがわかります。
絵葉書を2枚買いました。
「気楽坊」と名付けられたこの人形は、20㎝くらいの木彫でいろんなポーズがあり
彩色したもの、してないものなど種類もいろいろあるようです。
後水尾天皇は、徳川秀忠の娘と政略結婚させられたことに不満を持ち
「世の中は、気楽に暮せ 何事も思へば思ふ 思わねばこそ」という歌を作り
「気楽坊」と名付けた指人形を作らせては、自らを慰めていたという人形が
元になっているのだそうです。
そのいきさつを聞くと、あっけらかんとしたお顔の中に
悲しさや苦しさが内に隠されているのかもしれないという気がしてきました。
ここは、西武多摩湖線の一ツ橋学園の駅から歩いて10分のところで
交通の便はあまりいいとは言えませんが、
玉川上水辺リを散策するつもりならとてもいいところです。
平日ということもあり、人も少なく
本当に静かな時間が過ぎていく素敵な美術館でした。