昨日は、予報では曇りだったのに雨がしとしとと降る一日でした。
半年に一度学生時代の友人たちと当番を決めてちょっとした遠足を開催しているのですが、この試みもほぼ十年近く続くイベントとなりました。
今回は、幹事が学生の頃縄張りだった武蔵小金井近辺を歩く計画を立ててくれたので懐かしい気持ちを募らせていたのに、計画してくれた道の半分も歩くことができなかったのはとても残念なことでした。
まず、駅から東南方向へ歩いて「はけの森美術館」を目指しました。その昔は、バス停があった記憶しかなかった南口がえらくにぎやかになっていたのにまずびっくり。そういえば、駅構内もプラットホームが階上に移動していました。
通りから左へ曲がるとはけに続く細い坂道。大きなサザンカの木にピンクや白の花が咲いている家があるなと思ったら、そこが「はけの森美術館」の敷地につながる門でした。
竹藪が続く風情のある階段を下りて行くと、池がありその向こうに美術館がありました。
この美術館は、画家の「中村研吉」のアトリエと住居があった敷地にあります。家や庭、それに作品も小金井市に寄贈され、今から12年ほど前にこの美術館ができたとのことです。私は、ここへ来るという予定を聞くまでは、この画家のことを全く知りませんでした。
12月22日まで、1階では企画展「ほとけをえがく、そしてうつす」(台東区所蔵の法隆寺金堂・敦煌莫高窟壁画模写)が開かれています。2階に研吉氏の油絵、陶器のお皿の絵、デッサンなどが少しだけ展示されていました。
2階から下を見ると、ケヤキの枯れ葉が玄関の屋根に積もって秋の深まりを感じさせます。崖線の道なので、この玄関の脇にもポコポコと湧き出る小さな水たまりがありました。
住居としていた建物をリノベーションしたカフェがあるので、ここでお昼を食べました。素敵な暖炉です。
私が注文したスープ付きのキッシュプレートです。もう一つは、ビーフカレーセット。二つしかないので、あまり迷う必要もありません。私は、この1年くらい植物性のものを主に食べているので、こういう野菜中心のメニューがあるとありがたいと思います。
こんな雨の日ですから、11時半から1時半まで、われわれ7人のほかにはだれもこなかったので、ぺちゃくちゃしゃべっても迷惑をかけることもなく雨もいいことがあるものだと思いました。
ここから駅まで戻って、バスに乗り北上し次の目的地小金井公園へ行きました。どの写真も光が足らなくてぼやけていますが、桜の名所ですから桜の紅葉がだいぶ進んでいました。その昔、クラスでここへ親睦を深めるために来たことがあるという話でしたが、覚えている人と私のようにほとんどその記憶が抜け落ちているものと同じ経験をしても人の記憶は様々なんだと改めて感じました。
雨が降る中、案内ボランティアのお薦めで、この「前川邸」だけじっくりと見ることにしました。(この写真は、たてもの園の紹介写真をお借りしたものです。)
まず、感心したのは、真ん中に立っている柱です。物資のない時代だったので、この柱は電柱だそうです。前に2本、裏側に2本と縦に並んだ4本の柱でこの建物を支えているのだそうです。部屋の中に柱は、ほかにないのでとてもすっきりしています。
次に表も裏も大きなガラス戸になっていて、光も入れば、風も通り抜ける自然と一体感が得られる構造になっています。
昭和17年なので、建物の高さにも制限があったとかで、中2階になっています。(中2階の見学はできませんでした。)
これは、窓の戸の下のレールです。戦時中で金属が使えないという制約があったので、木でできています。試しに戸を動かしてみましたが、すっと滑らかに動くのでうまく作ってあるのだなと感心しました。
玄関とリビングを隔てる大きなドアですが、端に蝶番をつけたものではなく、3分の1位のところに支点をつけた独特のドアになっていました。開き方を変えることで部屋の見え方も違ってくるというのです。こんなドアは、初めて見ました。
さすが、コルビジェの弟子だったという建築家。こんな家に住んでみたいとは思いましたが、今となってはもう無理だろうとその場で潔くあきらめました。
歩く予定だった玉川上水のケヤキがいい色に色づいていたので、もったいないなと思いながら帰途につきました。
古希を迎えた7人がみんな年相応にはいろいろあれど、だれもがこれくらいの遠足をこなせるくらい健康でいられることを 今年は特にありがたいことだと思いました。