お茶会が終わり、外へ出ると
散策路に沿った渓流の水音が聞こえます。
青葉と水しぶき、
この日は、暦ではちょうど立夏でした。
ちょうど目の前にもみじのプロペラが。
遠くから見ると、まるで赤い花のようでした。
聴秋閣の散策路も通り
公開中の臨春閣へ回りました。
正面ではなくて左側から見ています。
臨春閣は、紀伊徳川家の夏の別荘だったそうです。
お屋敷があった紀伊では、現在池があるところに
紀ノ川が流れていたようです。
その一番いい眺めの部屋が三渓さんはお気に入りで、
池の端に亭樹(ていしゃ)を配置して部屋から眺められるようにしています。
入るとすぐ「蕭湘の間」。
襖絵は、狩野常信の「蕭湘八景図」、
欄間は、狩野探幽の弟子の下絵による波文様。
この屋敷にもいろんな欄間があるのですが、躍動感がある波の文様は
私の一番のお気に入りです。
この建物は、夏用の別荘として使われたので、
視覚的にも涼しさを演出したのだそうです。
「台子の間」です。(お茶道具を置いてお茶の準備をする部屋)
引き違い戸に使われているのは、蓮の茎だそうです。
細かい造作にこだわりがあることに、
この前来た時には、気づきませんでした。
この建物全体は、数寄屋風書院造だそうですが、
S字形にまがった梁があります。
これは、「海老虹梁」と呼ばれ、
禅宗様の寺院に使われているものだそうです。
これも、前回知りえなかった発見です。
それにしても、廊下を見上げるだけで、造作の妙を感じます。
廊下の天井は、丸太材と竹を交互に組み合わせ、
飾り障子は、桟を1本と2本の斜め使いにしてリズム感を出しています。
もう一つの公開建築「蓮華院」です。
建物の入り口近くの竹は、すっかり伸びたタケノコが
皮を脱いで若竹として成長していました。
「臨春閣」は、江戸時代、
この「蓮華院」は、三渓さんがデザインした大正期のもので
年代は違っても、1つ1つにこだわりがあるところは共通しています。
土間です。
真ん中の柱と壁にはめ込まれいる格子は、宇治の平等院鳳凰堂の古材だそうです。
先日八王子の美ささ苑にあった利休ゆかりの茶室にも、
床の間に太い柱がありました。
期せずして太い柱のある茶室を二つ見たことになります。
この太い柱を置くことで、
部屋全体が引き締まるのだそうです。
利休さんも、三渓さんも同じことをイメージしたのかもしれません。
右側に蓮華院という扁額がかけられています。
小間。
二畳中板の茶室です。
小間の天井のたてに渡した3本の木に気が付きました。
左側の木は、白い白樺のような木、真ん中は丸太材、右側は竹です。
ボランティアの方に聞いたところ、
「三渓さんの心にあるものだったのでは。」
と、それ以上の話は、聞けませんでしたが、
不思議な感じがしました。
この二つの間に六畳の広間があります。
(続く)
下記は、2013年の6月に特別公開された時の「三渓園」のブログです。
よろしければ、ご覧下さい。