夜桜を見に来てから1か月が過ぎました。
大池のまわりには紫や黄色の菖蒲の花が咲き始めていました。
鶴翔閣の前の池は、新緑の葉の間に白い睡蓮が
ポッポッと咲いています。
6日まで新緑の古建築(”臨春閣”と”蓮華院”)の公開でした。
2年前の青もみじの頃、見学したことがありますが、
今回は月華殿でお茶会もあるというので、
うちを8時に出て、1回目のお茶会に参加してきました。
この月華殿は、京都の伏見城から移築された建造物。
高い場所に位置しているので、渓流のある庭が眺められ、
しかも向こうの山の上の三重の塔に月がかかる情景を
眺めることもできる、とっておきの場所を選んで
移築されたそうです。
三渓さんのお気に入りの一つだったそうです。
まず、通されたのは ”檜扇の間”。
海北友松の障壁画に描かれているのが檜扇(ひおうぎ)。
万葉集の中に、萩、梅などと並び
出てくる頻度が高い植物だそうですが、
”ぬばたま”という名前で出てくることが多いようです。
ひおうぎの実が黒いことから、黒を表わすことばとして
この”ぬばたば”がしばしば登場してきます。
欄間は、菊の花と葉を意匠に透かし彫りされたものですが、
江戸時代のものなのにたいへんモダンです。
次にお茶席となる隣の”竹の間”に通されます。
右の飾りは、端午の節句に’因み、矢が二本、それに
三重の塔の古い瓦です。
お茶会 ”一日庵” を催してくださったのは、
三渓園のガイドなどのボランティアをされている方々で、
特にお茶に興味がある人が中心になっているのだそうです。
亭主は、袴姿の男性で、
正客は、受付一番の紫の着物姿が素敵な女性でした。
「カジュアルなお茶会ですから、お気楽に。」
と、主催者の方がおっしゃってくれましたが、
正客の方は、お茶の心得のある方でしたので、
すべて右に倣えで和やかに楽しく進んでいきました。
お菓子は、三渓さんの出身地、
岐阜のお菓子屋さんからのお取り寄せだそうです。
長良川のあゆを模したお菓子と、甘味噌をぬった煎餅。
お茶の道具は、三渓園にあるものが使われているのですが、
棗は、ここで有志がお茶会をやるようになってからのもので、
ここから見える三重塔をデザインした特注品だそうです。
外は、青もみじ。
お茶は、一期一会の世界だといいます。
この日の月華殿の茶室やまわりの緑も、集まられた人々や主催してくださったボランティアの方との出会いも、お道具やお茶菓子さえも、特別なもの。
そう考えると、このお茶会に参加できて
すごく豊かな気持ちになりました。
(続く)