臨春閣から階段を上って行くと月華殿があります。
月華殿は、京都伏見城の大名来城の際の控え所として使われた建物です。建築年は、1603年、移築は1918年です。
今は、茶会に貸し出されることもある建物なので、新しく炉を切って茶室としてのしつらえになっています。
月華殿
高いところに移築されているので、庭園が見渡せます。
金毛屈
月華殿の奥にある茶室です。
これは、1918年の移築の年に、茶人でもある三渓の構想による茶室が造られたのだそうです。
一畳台目(1,8畳ほど)の茶室。
しっとり濡れたもみじの青葉が美しい道を沢伝いに下っていきます。
聴秋閣
この建物は、1623年に京都二条城内にあったとされる、徳川家光、春日局ゆかりの楼閣建築。
この写真は、正面ではありませんが、この建物の特徴がよく分かります。
右側を三角に切り取ってあるところがユニークです。
中を覗いてみましょう。
玄関の床は、木目を生かした木のタイルです。400年も前のデザインなのに現代にも十分通じるというのがとても不思議ですが、アートとかデザインとかそういうものは時代を超えるのだなというのが感想です。
三角に切り取ったわけが分かると思います。
二条城ではどんなところに建てられていたのか分かりませんが、三角に切り取られた窓から、景色が自然に目に飛び込んできます。
聴秋閣は、覗くだけで上がることは叶いませんが、この園内で一番の風情を感じる建物です。
臨春閣は、りん・しゅん。聴秋閣は、ちょう・しゅう と、声に出してみるとちゃんと韻を踏んで名前が付けられていることに気が付きました。
鎌倉 旧東慶寺仏殿
縁切り寺として有名な東慶寺から移築されたものです。
(今は、花の寺として、あるいは、有名な学者や文人のお墓があることでも知られていますが、残念ながら、建造物に目立ったものがありません。)
たぶん廃仏毀釈が荒れ狂ったときに維持できずに手放したのだと思いますが、茅葺きの風格のある仏殿です。
勿論、中は、がらんどうです。
禅寺らしく切り取られた窓は、何を映しているのでしょう。
京都 旧燈明寺本堂
建築は、室町時代(1457年)で移築は、1987年。
旧燈明寺は、廃寺となった寺だそうです。
香が焚かれた本堂には、レプリカの仏さまがおられました。
池の向こうの山の上に建っていた三重塔も、この旧燈明寺のものです。
京都の木津川から移築されたのですが、今では関東で一番古い三重塔だということです。
園内をぐるっと回って、正門へ戻ってくると、雨も上がり日が差してきました。
池の端にしつらえられた八橋の左右に、菖蒲と半化粧。
花に見送られて三渓園をあとにしました。