隣花苑

 三渓園へ行った後、近くの「隣花苑」へお昼を食べに行きました。

 三渓さんは、多趣味な方でしたので、食にも一家言をなし、食通をもって自ら任じていたそうです。和、洋、中華などあらゆる国のいろんなものを食べ、自ら考案した料理をお客様に食べてもらうことを楽しみにしていたそうです。

 文化人で食通というと、魯山人を思い浮かべますが、三渓さんも似ていますね。

 三渓さんがなくなった後も、長女に当たる方が料理を受け継ぎ、その後も孫に、ひ孫にとその料理は受け継がれ、今へとつながってきたそうです。

 「隣花苑」 という名前は、三渓翁の五言「隣花不妨賞」(隣花賞するを妨げず)という言葉から採って名づけられたのだそうです。

 隣花苑入り口

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 建物の田舎家は、静岡県の大仁町にあった神社の神官が住んでいた家を昭和5年に移築したものだそうです。約600年前の建造物で、奥の二部屋は、徳川時代に増築されたものだそうです。

 入り口には、大きな壺に朱色の花を付けたザクロが無造作に生けてあり、土間には、これまた白い大きな花をつけたタイサンボクが迎えてくれました。

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 部屋には、初夏を思わせるような掛け軸や、置物、絵が飾られ、もてなしてくれました。

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  私は、一人でしたので、お運びの女性がいろいろお話ししてくれました。

 「この部屋の掛け軸は、三渓さんが描いた菖蒲です。お隣の部屋の富士山は、土牛さんの絵です。」とのこと。夢二の絵も飾ってありました。

 料理は、野菜中心の料理ですが、よほど丁寧に作られたのだと分かりました。

「手がかかっているのでしょうね。」と聞くと、「見ていても、気が遠くなってしまうようです。」と言っていました。

 三渓麺コース(お昼のみ)

 前菜の4品

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 見れば分かるものばかりですが、特に私が美味しく思ったのは、きゅうりと独活の胡麻和えの胡麻と、すぐそばの畑で取ったばかりだというきゅうりとトマトです。採れたてとはいえ、みずみずしいのは勿論、しかもとてもまろやか。ただ切って出してきたのではないことが口に入れたとたん分かりました。

 次は、豆腐とごまの白和え

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 ひじきの炊いた物、ゆば、かぼちゃの煮物、ローストしたくるみ、菖蒲の生麩、夏みかん、皮の砂糖付け、といろんなものを自分で和えて食べます。こんなものと合わせるんだと新鮮な組み合わせを楽しめました。 お皿は、冷たく冷やしてありました。

胡麻豆腐 

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 温かい出汁といっしょにいただきます。

海老しんじょ

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 ていねいに出されたお出汁のまろやかだったこと。

 これが、三渓麺です。

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 中の肉味噌が中華風という感じがするので、中華麺だと思ったら、特注のうどんなのだそうです。中華風の香辛料は、使われていなくて、和風の味付けです。ひき肉が珍しかった頃の料理だったということもあって、お客様に人気があったようです。

 この後、握り飯と漬物が出ておしまい。お腹はいっぱいになりました。

 コース料理(昼はサービス料、消費税込み4050円)のみですので、そう度々は行けそうにありません。