この展覧会は、横浜そごうで開かれている。
今回生誕120年を記念しての鈴木信太郎展は、
ほとんどがそごう所蔵のコレクションであり、個人蔵や
ノーベル賞をもらった大村先生の美術館から借りたものも含まれている。
経歴を見ているうちに、彼は、八王子の生糸を扱う商家が生家だと知り、
八王子に30年近く住んでいた自分にとって
ますます近しい感じを持った。
今では八王子といっても、ほとんど絹織物関係の商家はないが、
明治のころは、生糸は国の最も大事な輸出品だったので、
鈴木信太郎の生家は、たいへんお金持ちだったようだ。
彼は、幼少期病気により足が不自由となり、絵を描くときは椅子に座るか
草の上に座るかして描いていたようだ。
脚が不自由ながら、旅が好きで、風景画も多い。
北海道、京都、奈良、長野、新潟、長崎‥‥と精力的に描いている。
後は、八王子、青梅、荻窪と自宅を引っ越したが、自宅の庭、近所、
それに別荘を持った伊豆の風景も多い。
もちろん初期の絵と晩年の絵は作風が違うが、
とっても明るい色での表現が多い。
観ていて、温かみを感じる。
もう一つは、自宅の部屋で描いた静物画。
自分にとって身近なもの、窓の外の草木であったり、部屋にある壺や人形、
皿に盛った果物、花などが楽しげにそこに描かれている。
彼が、アンティミスト(親密家)と呼ばれる所以もその辺りにあるようだ。
静物画の中に桃がたくさん登場している。
食いしん坊の私は、絵を見ながら、彼の好物は、桃に違いないと思った。
友だちに便りを出そうと思って買ったポストカード、3点。