「次の朝は他人」考察4・・・その恋はホンモノ?
私は、初めて耳にしましたが、韓国のホン・サンス監督の映画は、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンとヨーロッパの映画祭を賑わし、ヨーロッパでは絶大なる人気を誇る監督なのだそうです。
彼の作った、文字通り恋愛についての4つの考察ということで、4本の映画が上映されています。
「教授と私、そして映画」その3・・・三角関係で得するのは誰?、
「次の朝は他人」その4・・・その恋はホンモノ?(白黒)
「ハハハ」その2・・・一目惚れには気をつけて
4本のうち3本を観ました。映画には、それぞれ恋愛についての考察ですから、副題がついています。
ある男は、4つの物語ともあまりぱっとしない映画監督という肩書きの男性です。映画を撮っている場面もないし、会う人が監督としてよく認知していないというところでぱっとしない映画監督だと思いました。
男と女のいろんな出会いと親密になっていく過程といろいろな別れ方を描いていて、特に壮大なストーリーというものはありません。その中で、男と女の交わす饒舌な会話もあれば、少ない言葉の中にきらっと光る言葉など粋な会話が一つの楽しみかもしれません。
韓国映画なので、セックス場面は控えめですし、どの映画にも先輩を訪ねて行くという設定が興味深いと思いました。話には聞いていましたが、先輩をしっかりと立てるあたりもしっかりと出ています。あと気になったのは、タバコを吸うシーンがとても多いということです。女性もタバコをよく吸います。
この3本のうちで、映画として面白かったのは、その2「ハハハ」でした。この映画は、2010年のカンヌ映画祭ある視点部門でグランプリを取った作品だそうです。自分の国だと大きく報じられるのでしょうが、国が違うと監督の名前も耳にしないということになるのですね。
ある日、監督という男がその先輩を訪ね、マッコリを飲みながらひと夏の恋のバカンスについて話を始めます。実は、この二人同じ南部の港町、統営(トンヨン)へ出かけ、同じ食堂へ通い、よく知っている人と食べ、飲み、話をしているのです。
この二人の話が一段落すると「ハハハ」という笑い声とともにワンカット終わり、また話の続きへと映像が進みます。その繰り返しで出来上がっている面白い映画です。
観ている人間にとっては、どちらの話の中身に出てくる登場人物も行動範囲も分かるので、ニアミス的な話にちょっとどきどきするのですが、本人たちは、お互いの話の中に登場している人物を知らないので、そのまま話が過ぎていくのです。
どの話にも素敵な女性が出てきます。