韓国 チェジュ島旅行

 連休明け、5泊6日でチェジュ島を旅しました。

 


西帰浦 (ソギポ)

  「オルレ」

 チェジュ島を一周18コースに分けてある「オルレ」と呼ばれるハイキングコースを歩くことが目的の旅でした。今回は6,7,1,1-1と4つのコースを歩きました。

 「オルレ」は、初めての人でも、言葉が分からない人でも、迷わないように標識がポイントに必ずあります。歩きながらチェジュ島の自然を肌で感じることができるように、しかも安全に歩けるように整備されたすばらしい道です。

 ①標識のリボン

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 ②標識の馬のオブジェ(頭の方へ進む)  

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 ホテルにチェックインしてから、午後2時半過ぎ、すぐにオルレ6コースのスタート地点、ソェソカックまでタクシーで行きました。ソェソカックは、海に注ぐ川の河口でテウという世界一遅いいかだのような乗り物があるところですが、残念ながら、この日はカヌーしか用意されていませんでした。

  オルレ6コース (14・4キロ)

 ソェソカック

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  お腹が空いていたので、この近くの食堂へ入りました。「日本人でメニューがわからない。」とそこまで韓国語で何とか話しましたが、この後どうしようかと不安でした。ところが、ラッキーなことに日本語の分かる女性がやっているお店でした。

 私が、「あわび粥あります?」と聞くと、「焼き魚ならできるよ。魚大丈夫?」とのこと。

 大きな鯖の一夜干しがどーんと出て、おかずが7皿、それに若布スープとご飯が出て、2食分くらいの量。残さず食べたので、インスタントコーヒーだけれど・・・といいながらごほうびまで出してくれました。チェジュへ来て初めての食事で、お腹も心もいっぱいになりました。

 鯖焼き定食

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  夕日を追いかけながら、コース半ばにあるKALホテルで宿泊。韓国のリゾートですから気候も温暖で、眺望も素敵です。

 ソギポKALホテルからの眺め

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 オルレ7コース(13・8キロ)

 翌日は、7コースの到着地点(ウォルピョン)までタクシーで行き、出発地点(ウェドルゲ)へ向かって歩きました。ウォルピョンは、やはり川の河口です。海の色の美しさがこれからのオルレ道への期待を膨らませました。ここから先、いくつも海へ流れ込む川を渡ります。どれもちょっとした渓谷のように美しく、チェジュ島は、山の伏流水が海の近くで湧き出て滝になっているところも多く、改めて水が豊かな島だと思いました。

 ニンニクの匂いの風がトラックとともに過ぎていきます。この辺りでは、名物のハルラポンなどの柑橘類のほかにニンニクも作られていることが分かりました。

  ウォルピョンの海

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  サザエ・ウニ粥

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 この日の昼食です。ヘニョ(海女)のアジュンマたちが経営しているお店へ入りました。

 今日こそは、あわび粥と思ったのだけれど、あわびが今日はないとのこと。またここで、メニューがわからないと話したら、「サザエ・・・・」とそこだけ日本語で、また「ウニ・・・」とそこだけ日本語で言ってくれたので、「サザエでもウニでも・・・」と返事をすると、「サザエ・ウニ粥」になりました。贅沢ですよね。やはりおかずが3つ付きました。初めて食べたお粥は、ごま油の香りがして、軽い塩味でした。マイルドな味付けです。因みにサザエ・ウニが両方入って10000ウォン(800円くらい)、どうもおまけみたいです。私がハングルでメニューを写していたら、上手に書けるとほめてくれました。

 きれいに食べたせいなのか、立ち去ろうとしたら、声がかかって、またインスタントコーヒーを飲んでいけといわれました。

 言葉が少しでも話せると、アジュンマたちもなんだか喜んでくれたみたいだし、ちょっと通じ合ったような気がしました。

  海岸の道

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 こんな岩が道になっているところもあります。自然のオブジェには目を見張ります。岩を踏み外すこともなく転ぶこともなく歩けたことに感謝したくなります。

  ウェドルゲ

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 寂しげに立っている岩からウェドルゲと名づけられたそうです。ソギポ市では、風光明媚で有名な観光地。チャングムの誓いのロケにも使われたそうで、公園に顔をくりぬいたチャングムの等身大の看板があって、顔を入れて記念撮影をしている人もみかけました。

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 ソギポからチェジュへ移動する日、イ・ジュンソップの美術館へ行きました。イ・ジュンソップは、日本に留学していたこともあり、日本人の女性と結婚した画家です。朝鮮戦争から疎開してチェジュ島のソギポへ1~2年住んでいたことがあるだけなのですが、住んでいた家の隣にこの美術館があります。家族を描いた絵を見ると、ソギポで過ごしたわずかな期間が心安らかな時間だったことが分かります。その後夫人と子どもを日本に返し、自分は肉体労働をしながら、絵を描き続けたようですが、体を壊し、46才でこの世を去ります。美術館には、夫人となった山本方子の手紙類も展示されていて、文面からも難しい時代を感じました。 家族・牛・鶏・風景など題材は、身の回りの素朴なものが多く、力強い線、大胆なフォルムの絵は、見ていて心が温まります。

 

チェジュ市

 三姓穴(サムソンピョル)

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 チェジュには建国神話があって、ここにある穴から三人の神様が姿を現したといわれています。その三人(高乙那・夫乙那・梁乙那)の姓を持った高さん・夫さん・梁さんの子孫たちが、今でもここで春と秋に行事を行うそうです。不思議なことに穴を囲む周りの木々は、この穴に引き寄せられるように枝先を伸ばすということです。いわゆるパワースポットということでしょうか。

 オルレ1-1コース (15・9キロ)

 ウド行きのフェリーボート

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 チェジュへ移動した翌日は、ソンサンポ行きの市外バスに乗り、港まで行きました。そこからフェリーで牛島(ウド)へ渡り、島を一周します。ウドは、牛が横たわった姿に似た形をしているということから付いた名前のようです。この日は、快晴。日焼け止めを忘れてきたことを後悔しました。

  天草

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 この日は、旅行中で一番よい天気の日で、風も穏やかでした。島を歩いていると海女(ヘニョ)が海へもぐっているところや、上がって談笑しているところ、そして取ってきた天草だと思われる海草を干している場面をたくさん見かけました。帰りの最終フェリーに20~30人の海女さんが乗り合わせたのを見て、島へわざわざ仕事をしにくるほどこの島の海は、豊かなのだと思いました。

 島の石垣と民家

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 沖縄の竹富島あたりを思い浮かべました。屋根の色は、青や朱色や緑などとてもカラフルです。家の屋根は低く、周りを石垣が囲んでいます。風が強いので、家だけではなく、畑の周りもぐるりと石垣が積まれています。

  ハゴスドン海水浴場

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  視界が開けたとたん、まばゆい海が目に飛び込んできました。白い砂浜、エメラルドグリーンの海。予想していなかったので、とても感激します。夏なら、水着に着替え飛び込んでいたでしょう。

 牛島の牛

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 牛島なので、牛に登場してもらいました。オルレ道は、畑のあぜ道や、くいにロープをしばっただけの牛や馬がいる草原も通ります。近くを通っても悠然としたものです。

  ソンサン(城山)を望む

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 麦秋の畑の向こうにソンサン(海底火山が噴火してできた山)が見えました。どこを切り取っても絵葉書になるようないい景色です。見とれてばかりはいられません。最終フェリーの時間が気になり始め、この辺りから港への道を急ぎました。

 ソンサンポに着くと、帰りのバスは出たばかり、50分待たなくてはなりません。バス停には、私を含め4人が待っていました。5分位したら、タクシーがスーッと来て、片手を広げて声をかけています。1人の女性が反応して運転手と何やら話していたと思ったら、どこへ帰るのか私に聞いてきました。「市庁」と答えると、5000ウォンだからと、一緒に乗れと誘ってくれました。バスだと3000ウォンですが、タクシーでも40~50分かかる距離なのですから、もちろん乗せてもらいました。最終フェリーですから、もうお客はいそうもないし、運転手も空で帰るよりはと考えてのこと。  

オルレ1コース(15.6キロ)

 翌日は、残る1コースを歩きました。朝、ホテルの案内係のお兄さんに1コースは、山があるしバス停も分かりにくいから、やめた方がいいといわれましたが・・・・それでも、運転手に見せる 「○○停留所で下ります」をメモ用紙にハングルで書いて持たせてくれました。毎朝親切にしてもらってありがたかったです。

 マルミオルム

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 この日は、雨は降りませんでしたが、どんより曇った日でした。東回り路線のバスに乗り、始興里で降ります。このコースは、初めて公開したオルレ道です。歩き始めてまもなくマルミオルム(馬の頭の形をしている寄生火山の一つ)への登り道にさしかかります。見ても分かりますが、たいした標高ではありません。心配することはありませんでした。

 登ると昨日行った牛島や城山が遠くに見え、眼下には、麦や野菜の畑が石垣に縁取られポシャギ(韓国のパッチワークをした布)のようです。 

アルオルム

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 アルは、あひるの卵という意味で、やはり寄生火山の一つです。草山でしたので、すべらないように縄のマットが敷かれていました。

  定食

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 コンビニ(ファミマ)の隣にやっと見つかった食堂で写真の定食を食べました。これも量が2食分くらいありました。完食しましたが、コーヒーは出ませんでした。6000ウォン(480円くらい)です。田舎なので値段も安いです。余談ですが、チェジュでは、圧倒的にコンビニは、ファミリーマートが多いです。

 塩の畑

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 かつて、この辺りでは塩を作っていたのでしょうか。日本では、「塩田」という名前でよばれますが、「塩の畑」と書いてありました。一段低く水がたまっていて葦がはえています。これは想像ですが、塩分があって作物が作れないのかもしれません。

 ソンサン

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 ようやくソンサンが近づいてきました。天気もいまいち、足も豆はできるし、モモの筋肉もそろそろ限界かなと思いつつ、意外と根性があると自分で感心しながらソンサンまで歩きとおしました。ソンサンは、観光バスが必ず立ち寄る観光地で、その日も学生や団体客などたくさんの人でにぎわっていたので、足も痛いし、登りませんでした。(人が多いところはあまり好きではありません。)1コースは、この先3キロ弱ありますが今回はここまでとしました。

  トルハルバン

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 最後の日、国立博物館へ立ち寄りました。チェジュ独特の石像、トルハルバンです。この地方の言葉で「石のおじいさん」という意味だそうです。モアイ像のようには大きくありませんが、どこか通じるものがあるような気がします。