石巻・南三陸・気仙沼への旅 その3

続きです。

保健医療センターから乗った住民バスは、北上川下流に向かって左岸を河口へ向かっては走っていきます。20人くらいが乗れるマイクロバスです。乗っていた人は一人、買い物の袋を下げていたので朝一番のバスで石巻の中心部へ行き、このバスで帰ってこられたようです。この辺りには、食料品を買うような商店は見当たりませんから、車がない人、運転ができない人にとっては命を支える大事なバスなのだと思います。住民バスですから集落のあるところを縫うように走っていきます。時には山を削って造成した復興住宅が建っている小高いところにも登って行きます。前回書いた「北上小学校」もこの一隅に建設中でした。

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北上川河口部と思われます。小島も点々として本当に美しい場所です。

 

石巻の一番河口に近いところは、十三浜と呼ばれるところです。山を上り下りして浜へ下りてくるという繰り返しです。

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こういうのが十三続いているのです。来るまでは特定の場所の名前かと思っていましたが、小さな浜が十三続いている地域の名前だということがここへ来てようやくわかりました。

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十三浜では、昆布やワカメの養殖をしています。きれいな外海の波に洗われたワカメは、身が厚く最高級品。値段も他の産地の物と比べ高いです。

2012年11月末に石巻市の鹿妻地区の女性たちと交流させてもらったことがあります。その時に初めて十三浜で漁師をしている方から津波のことを聞く機会があり、十三浜というのは、特別なところだということを知りました。あれから6年も経って、ようやくその十三浜を知ることができてこれも感慨深いものがありました。

参考までに

 http://yporcini.hateblo.jp/entry/2012/12/01/123355

 

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 バスは、私一人を乗せて南三陸町との境にある「神割崎」入口へ到着しました。入口から5分くらい歩くと神割崎の看板が立つところへ着きます。ここのことは、南三陸の観光案内で知っていました。

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 ここがその神割崎です。ここは現在も石巻市南三陸町の境となっていますが、昔はその辺りが曖昧だったそうです。ある日、大きなクジラが浜に打ち上げられ、このクジラの所有権をめぐり争いがあったというのです。その時、この岩が真っ二つに割れ、クジラも二つに割れたのだとか。これは、神様の裁きだということで、この割れ目を神割崎と呼び、石巻と南三陸の境としたという伝説があるそうです。

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 石巻方向を見たところです。

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 左側の南三陸側です。

 水は透き通り岩の間をくぐり抜けて打ち寄せる波がドーンとしぶきをあげます。 岩の割れ目に2月と10月に朝日が昇るのが見えるというので、その時期にはカメラマンが大勢やってくるそうです。

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 ここは、キャンプ場もあり風光明媚な自然公園となっています。散策しようと思いましたが、お腹もすいてきたので公園内にあるレストランで「タコカツカレー」を注文しました。タコのミンチを揚げたものが載せてあります。

 お腹も満ち足りたので、さっそく探しに出ました。何を探して?と思われると思いますが、冬に南三陸のビジターセンターの職員の女性に神割崎にニッコウキスゲの群落があるという話を聞いていたので、それを見たいのもあって旅を今回の時期に設定したのです。少し遅かったのですが、ちゃんと待っていてくれました。

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 日当たりのよいところはほとんど終わっていましたがまだ健気に咲いていてくれたニッコウキスゲです。ニッコウキスゲは、山の植物だと思っていましたが、海のすぐそばで咲くというのがとても不思議だったのです。行ってみて三陸海岸は「山背」という冷たい空気が押し寄せるところだということに気付きました。冷たい霧がこの辺りを覆ってそれが、山の湿原のような環境を作り出すんだなと気づきました。この日もなんだかそこはかとなくひんやりとしていました。 

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 ウツボグサです。これも種がどこからやってきたのかはわかりませんが、美ヶ原でも見た植物ですから、山の植物です。

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 これは、「ノハナショウブ」です。湿地に育つショウブですからやはりここの環境があっていたと思われます。

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 これは、よくわかりません。松の幹から出たぶにょっとしたキノコのようなものです。以前「松露」というキノコのようなものがあることを聞いたことがあるので、それかなと思いましたが、松の根に寄生するらしいので、違うかもしれませんが、どなたか知っていらしたら教えて下さい。

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 この公園内には、いくつかの岬があって、名前が付けられています。

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「漁り火岬」「恋岬」「母恋岬」「出逢い岬」、どこも岬の松とブルーの海の色、柱状節理の岩が織りなす風景は素晴らしいです。中には「牛落とし」と名付けられている、断崖もありさすがに崖をのぞくのは怖かったです。

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 向こうに見えるのが「松島」です。ここは、ウミネコの繁殖地。白くぽつぽつ見えるのがウミネコです。「ニャアニャア」と鳴きながら飛ぶウミネコは、カモメより一段と大きく北上川の大橋の鉄橋にも飛んできていました。

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 「小浜灯台」です。岬の北側にありました。

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 北側には、懐かしい南三陸の椿島や湾の奥にホテルの白い建物もうっすらと見えていました。この辺りでとうとう雨がぽつぽつ降りだしたので、レストランに戻り雨宿りをすることにしました。

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 「神割ブルー」という名の飲み物です。町おこしに一役買っている志津川のタコは、いろんなところに登場してきます。グレープフルーツジュースとブルーハワイをベースにして炭酸で割ったものです。さっぱりとして美味しかったですが、本当に町おこしは大変だなと思いながら飲みました。ウイークデーのこんな天気ですから、キャンプをしている人も3組しかいませんでしたし、レストランのお客さんも午後のこの時間になるとだあれもいません。

 南三陸の町民バスは、4時前の出発でした。また一人かと思いきやなんと高校生の男子が2人乗りました。石巻の高校へ通っているのだと運転手さんが教えてくれました。石巻の市民バスでここまでやってきてここから町民バスで志津川の方へ帰るとか。朝だけは、ちょうどよいバスがないのでここまでうちの人に送ってもらって石巻のバスに乗り換えるのだそうです。

 私は、この日は冬に泊めてもらった民宿に予約をいれておいたので、近くで下ろしてもらいました。

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 この日の夕食です。またまたすごいご馳走です。

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電話で予約をした時に、「ウニが食べたい」と言ったのですが、「この戸倉地区は、ウニの開口がまだなんだよ。」と残念な話を聞いていたので、あきらめていたらよその地区の漁師さんから分けてもらったとのことでウニを出してくれました。

成育とか天候条件が整った日を地区で決めて獲れる日を開口と呼ぶそうです。ちゃんと漁業権がある人のみが開口の日に一斉に獲るのです。

 これで二日間食べ過ぎの日々となってしまいました。

 (続く)