石巻・南三陸・気仙沼への旅 その4

旅の三日目28日は、南三陸からBRTで気仙沼へ向かいました。往きに通った大谷海岸の道の駅のところにハマナスの群生地という看板を見つけたのがきっかです。道の駅で聞いたところ看板は震災前のものなので今はどうなっているかわからないということでした。

よく知らないみたいなので自分で探そうと思って堤防が切れているところまで歩いて行きました。歩いているうちに歩道の横にちょっとした花壇がありピンクや白のハマナスの花が見つかりました。

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そばに立札が建っており、津波にも流されずに残ったハマナスに因み植栽したものだとわかりました。

津波に流されずに頑張りぬいたハマナスがあったということを知り大変感激しました。

 

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堤防の切れたところから海岸へ下りることができました。入口には「はまなす海洋館」というホテルが建っていました。ここも津波の被害を受けました。

線路が見えますが、東北線の小牛田から南三陸を経由して気仙沼まで走っていた気仙沼線の線路でした。今は、廃線となりすべてがBRTというバスに代わってしまいました。向こうの岬のトンネルを出ると目に飛び込む美しい海を眺めるお客さんの姿が見えるような気がしました。この季節には、ピンクや白のハマナスが彩りを添えていたにちがいありません。

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ホテルの前庭は、バラやユリなどを植えこんだ庭園として整備されていましたが、その花壇の向こうに野原となった場所がありました。

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草の中にところどころハマナスのピンクの花が見えるではありませんか。津波にも負けないで生き延びたのは、このハマナスだったのでしょう。杭とロープを使ってそれとなくハマナスを守っているような気がしました。

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そばへ行くと立札がありました。かつて八戸の種差海岸でもハマナスが咲いているのを見ましたが、茅ヶ崎とか三浦海岸では自然に生えているハマナスは見ることはありません。関東では同じような落葉低木としてよく見るのは「ハマゴウ」です。ちょうど今頃紫色の花を咲かせます。こうやって実際歩いてみると、ちょっとした気候の違いで植生が変わることがわかります。

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コンクリートでできた階段のすきまから「ハマヒルガオ」と「オカヒジキ」が生えています。海浜の植物の生命力には感心します。やがてこの砂浜はハマヒルガオのピンクの花に覆われるのではないでしょうか。

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海と車の通っている道路との間に立ちはだかっているのがこの盛り土です。

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防潮堤というのでしょうか。いわゆる堤防です。約10mの高さがあるのですぐそばを通る車からは海は一切見えません。

展望台のように高くなっているところへ上がってみることができました。完成イメージという図と照らし合わせて今やっている工事の全体がようやくつかめました。

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海と反対側です。やはり同じくらいの高さに盛り土がされていてまだ工事中です。

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はまなす海洋館」と反対の方角を見たところです。こちらにはまだ高い堤防がないのでこれからどんどん積み上げていくのではないかと思われます。海が見えない海岸が三陸海岸にはどんどん増えていきます。震災後7年が経ちましたが、大谷海岸についてはようやく全体像が見えてきたというところでしょうか。

堤防が高くなれば津波が防ぎきれるのでしょうか。国土強靭化とは、堤防を高くすることなのだろうかと思うのです。f:id:yporcini:20190628115553j:plain

霧雨がぽつぽつと降っているような状態でしたが、何とか次のBRTに間に合うように停留所へ戻ってこれました。ベンチには毛糸で作った座布団が敷いてありました。冬は直接座れば冷たいので地域の人が作ってくれたのだと思います。

ちょうど同じバスに乗ったご婦人がいらっしゃいました。私が「ハマナスを見にきたんだ」というと、その方は「私のうちは、海洋館と道を隔てたところにある花屋さんの裏だから今度来たら寄ってちょうだい。」とにこやかにお話されたので、驚いてしまいました。今あったばかりの見知らぬ人にそんな言葉をかけてくださるなんて・・・じんわりと温かい気持ちになりました。

これまでも東北へ来るとよくしてもらうことがよくありましたが、またまたお土産をもらってしまいました。

(続く)