「少女は自転車にのって」

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 5日の試写会で観た映画の紹介。

 この映画が話題になっている一つは、サウジアラビア映画であること。

 サウジアラビアでは、映画館がなく国内での公開は今のところ実施されるめどがたっていない。

 二つ目は、映画監督は、ハイファ・アル=マンスール、サウジアラビア初の女性監督であること。

 今までは、ショートフィルムやドキュメンタリーやテレビの仕事をやってきた経歴の持ち主。

 その過程で、女性の声に耳を傾けてきたということがこの映画の下地になっていることは、いろんな場面で生かされている。

 主人公は、10歳の少女ワジダ。

 友だちの男の子が乗っている自転車に乗りたいのだが、女の子が乗るなんてと、母親も相手にしてくれない。

 10月の26日にサウジアラビアの女性が、自動車の運転免許が認められないことに抗議するために、自動車を運転して街を走ったというニュースが伝えられたばかりである。というような国なので、女の子が自転車に乗るということもありえないことのようだ。

 そんなお国柄なので、子どもといえども女というだけでやってはいけないこと、やらなければいけないことがたくさんある。

 なかなか知ることができないイスラム社会での女性の姿を、女性の目線で描いた映画である。

 声高にそのことに異を叫ぶ映画ではないが、女の子の目、純粋な感性を借りてそのことを静かに写し取っている。

 ラストシーンは、この国の女性の将来を予感させるようで、爽やかな気持ちになる。

 この映画は、12月14日から2月7日まで岩波ホールで公開予定。ぜひ観ていただきたい映画である。