一昨日の続きです。
茶屋の隣には、休憩所がありました。
苔むしたお地蔵さま。
きっとこの道を行き交う人々をずっと見守ってきたのでしょう。
いいお顔をしておいでです。
ポト、ポトと音をたてながら散り落ちただろう
花、花、花、ヤブ椿。
サンシュの花だと思っていたところ、アブラチャンのようです。
この辺りに何本もあったので、印象に残りました。
追込坂という名の付くゆるやかな坂なんですが、
吹きつける風はかなり強いようで、木の枝が曲がって生えているものが多いです。
小鳥の声はすれど写真はなかなか撮れません。
辛うじて取れたのは、これだけ。
でも、何という名前だか、これだけではわかりませんでした。
白い小さな花をつけているのは、ワサビ。
「雲助」について書いた看板がありました。
普通は、旅人のものを取るような悪者として描かれていることが多いのですが、
小田原の問屋場で働く人足の呼び名だそうです。
問屋場で割り当てて仕事をしていた人たちなので、
悪いことをするような人はいなかったとのことです。
雲助は、
1 力持ち。
2 荷造りがうまい。(箱根で荷造りした荷物は京都まで決してほどけなかった)
3 歌がうまくないと一流と言えない。
この3つの条件が必要だったのだそうです。
プロの仕事は昔も今もすごいなと感心する一方、
何で歌がうまい必要があったのかが疑問でした。
猿滑坂
サルも転がってしまうのですから、このあたりから坂が急になってきます。
ここにもフジザクラの仲間らしい花が咲いていました。
ヤマザクラのように自生している桜ですが、
花が小さくややうつむき加減に咲いています。
橿木坂
逆コースを辿っているので、個人的には膝が痛いですが、
上りよりは、楽な私たちです。
上りの人にとってはこの辺りは、難所かもしれません。
この立て札に書いてある歌を読んでいて、どんぐりほどの汗が滴る かと思いきや
どんぐりほどの涙こぼるる になっていたので、思わず笑ってしまいましたが
本当にたいへんだったことがわかりました。
視界が開けたところから、桜の並木越しに小田原方面が見えています。
西海子坂(さいかちざか)
この辺りから山が迫ってきて石畳の道になります。
一里塚
一里塚の形が残っているところは少ないのですが、
ここは、しっかりと残っています。
一里塚は、こんもりとした盛り土の上に木を植えるのがその形です。
ここの場合は、下ってくると、左側がモミの木、右側がケヤキになっていました。
こんなのが、街道の一里ごとにあったのです。
一里塚を出ると、畑宿と呼ばれる集落があります。
昔から、箱根細工が盛んな地域で、製材した木の倉庫や製作所、それに
製品を売っているお店が並んでいました。
箱根全域の土産物屋さんに商品は卸されているのでしょうから
私が心配することではないのでしょうが、この道を通る車も人も少ないので
ここだけ見るとやっていけるのかなと余計な思いも浮かんできます。
そんな思いを打ち消すように、
ミツバツツジが鮮やかに咲き誇っていました。
ソメイヨシノは、まさに満開でした。
大澤坂
かなり下ってきたので、
ここでは、シャガの花がもう咲いていました。
今年の花の暦は、やっぱり早いなと思いました。
割石坂
曽我五郎が富士の裾野へ仇討ちに出かける途中、刀の切れ味を試そうとして
路傍の巨石を真っ二つに切り割ったと伝えられているところです。
女転し坂
女が馬から転げ落ちて相果てたという記録がから
この名前がついたとのこと。
本当にいろんないわれの坂がありますが、
箱根が難所だったことの証だろうと思いました。
ここを転ばずに何とか過ぎると、須雲川にぶつかります。
小さなつり橋を渡って、向こう岸に渡ります。
寺の門前に小さな滝がありました。
この滝の水も須雲川に流れ落ちていきます。
ホテルはつはなあたりで、バス通りに沿って歩くことになります。
前山です。
ちょうど山笑うの季節。
芽吹きの萌黄色とヤマザクラのピンク。
日本独特の春の色。
紫モクレンが色を添えています。
手前のさくらと前山がコンチェルトを奏でているようでもあります。
葛原坂。
時計を見ると午後3時半。
旅館のお風呂に入れてもらうことになっていたので、時間が気になります。
このまま歩くと湯本までまだ小一時間かかるようなので、
葛原バス停からバスで湯本へ向かうことにしました。
一応、旧街道歩きはここで終了。
湯本から歩いて、川を二つ渡ります。
二本目の弥栄橋のたもとに山吹の花。
友人のお蔭で、空いている温泉にゆっくり浸かれました。
山歩きの後温泉に入れるのは、なんて幸せなんでしょう。
帰りは、二人とも小田原で下車して買い物の予定があったので、
小田原で降りて買い物へ。
その後、駅の近くの蕎麦屋さんで、「宿場そば」を食べました。
外で食べる時は、いろいろたくさんの食材が入っているものと
決めているので、9つのお椀に異なるおかず、異なる薬味が入った
このおそばにしました。
ちょっとわんこそばの雰囲気です。
二人とも6杯目あたりから、休み休み食べるくらい量も多いです。
森林浴、温泉浴、そして美味しいものと3拍子そろった山歩きとなり、
大満足です。
おまけ
帰りに私が買って来たのは、小田原名物「ういろう」です。
ういろうは、名古屋の名物だと思っていましたが、
実は、小田原のういろうが始まりだそうです。
「外郎家(ういろうけ)」の初代は、もともと中国から来た人で、
中国で千年の歴史を持つ家柄。
元の滅亡とともに日本に渡り、帰化した人だそうです。
日本に来て、約650年たつ家柄だそうです。、
万能薬と言われる薬「ういろう」を一子相伝で作ってきたそうです。
お菓子の「ういろう」はお客をもてなすために作られたものだそうです。
今も、小田原でのみ薬とお菓子の生産と販売をやっているので、
全国的にあまり知られていないようです。
でも、私は、そういうお店が好きで、
ようやく願いが叶ってこの「ういろう」を手に入れ、
食べることができました。
お菓子の「ういろう」は、通販でも販売しているようですが、
薬の方は、本店で、しかも対面してしか販売しないようです。
このういろう、ほかのういろうとどこが違うのか
はっきりとわかりませんが、甘味がすっきりしていて、
もちもちした食感が人気の秘密かもしれません。