今、ドキュメンタリー映画がおもしろい 3

コスタリカの奇跡ー積極的平和国家のつくり方」

 ようやく雨のトンネルをくぐり抜けたかと思ったら、すごい猛暑。

 風があればエアコンのお助けを必要としない私が、今回は虫刺されが引き金で

皮膚が化膿。仕方なく汗をかかないようにエアコンのお世話になっている。

 2の「ミリキタニの猫」と同じ日に観た映画なのに

ブログに書くのがずいぶんと遅くなってしまった。

 

 今回の映画は、「コスタリカの奇跡」。

 コスタリカという国は、中央アメリカの中の小さな国の一つ。

 西に太平洋、東にカリブ海に挟まれ、中央部に山岳地帯がある。

 

 私が、この国の名前を知ったのは、小学校の高学年で世界の国の首都を覚える時。

 小さな国が多いので、なかなか覚えられない地域だったが

今回の映画を観たことで、はっきりと覚えられた。

 首都は、サンホセ

 

 その時は、国の名前だけでどんな国かも知らなかったし、コスタリカ憲法

軍隊(常備軍)を持たないと規定されていることも知らずにいた。

 新たにそのことを知ったのは、ずいぶん後で、

それまでは日本だけが軍隊を持たない国だとずっと思い続けてきた。

 

 海外旅行へ出られるようになりコスタリカへ行こうと思ったのがきっかけだった。

 この国は、国の面積の4分の1が保護区となっていて、

 この映画のフライヤーの写真のように太平洋とカリブ海からの空気がぶつかるので

霧が発生し、いつも神秘的な姿を見せる素敵な山や森の自然が息づくところだ。

 色鮮やかな鳥や昆虫など生物多様性を楽しむエコツアーに訪れる観光客の数も多いと聞いている。

 残念ながら、予算の都合もあり未だに行けずじまいだが、

行ってみたい国の一つであることは今も変わらない。

 

 この映画でコスタリカも小国が国境を接しているせいか

意外と戦争が多かったことを知った。

 詳しくは、映画を観ればわかることだが、

1948年、ホセ・フィゲーレス・フェレールが内戦後非武装を制度化し、

1949年憲法常備軍を持たないことを宣言した。

 それ以後、国境を接しているニカラグアの侵攻など難問もあったに違いないが、

今日に至るまで政治的な話し合いで解決してきている。

 

 ホセ・フィゲーレス・フェレールという人は、先見の明があった。

 こんな小さな国が軍隊をもって戦争をしたところで、

大国の前ではひとたまりもない。

 軍隊を維持する予算を、未来の人間に投資することが何よりも重要だと

教育や医療にかかる費用を無償にした。

 コスタリカの国民幸福度は、世界1だという。

 

 私がこの映画を観て、すごいと思ったのは、

コスタリカの人たちが、「軍隊はいらない」「必要がない」と言い切るところだ。

 軍隊のない生活が、文化として定着している。

 同じ年月を過ごしてきて、日本との違いはどこなのか深く考えさせられた。

 

 数日前に防衛庁の来年度の予算は、4年連続で5兆円を越え過去最高と発表があった。

 このことの是非は後回しにしても、

この予算が社会福祉や教育費として使われるとしたら、

世の中がずっと変わったものになるだろうことは予想できる。

 

 しかも日本は、財政は国債頼み、将来の国民にまで

借金が重くのしかかっているのだ。

 世界が核兵器だけでなく、軍事費にお金を使わなくなったら、

どれだけ世界は変わるだろうかとつかの間、夢を見させてもらった映画である。

 

 シネマリンでは、明日25日まで。

 これから全国の単館系の映画館で上映が予定されています。