映画「ローマ法王になる日まで」

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 2013年第226代ローマ法王フランシスコの半生を描いた作品。

 彼は、イエズス会の神父で アメリカ大陸から初めてローマ法王に選出されたことで

大きく報道されたことは記憶に新しいことではないだろうか。

 近頃では現アメリカのトランプ大統領が、就任直後に

メキシコとの国境に塀を作らせるとの発言に対しても批判をしただけでなく

世界中の経済、社会の様々な問題に対しても声を上げている。

 おそらくこんな法王は、今まで存在していなかったのではないだろうか。

 

 そんな認識しかなかったので、この映画に描かれていた彼の故郷アルゼンチンへ

抱いていた想いは裏切られた。

 以前若い時代のチェ・ゲバラの南米旅行記を描いた

モーターサイクル・ダイアリーズ」にも登場したブエノスアイレス

 この映画は、時代がかなり昔にさかのぼるので異なるのは当たり前だが

スペイン統治時代の歴史的な建物とタンゴの情熱的な調べとダンス・・・

 いつか旅をしてみたいと思っていた国、アルゼンチン・・・・

 

 大学で化学を勉強していたホルヘ(フランチェスコ法王)が

イエズス会に入り神父になることを決意した頃、

アルゼンチンは、ビデラ軍事政権の時代だった。

 

 独裁政権は、暴力的に政権を奪ってきたが故、

いつ自分に牙が向けられるかという不安が付きまとうのだろうが、

御多分にもれず前政権につながる人間の抹殺、

次に民衆の立場に立つ良心的な役人を職場から放逐する。

 聖職者も例外ではない。

 貧しい人々の中で救いを求めている人に寄り添うだけで、

武装勢力をかばっているのではないかと殺されていく。

 

 カフェやレストランでしゃべる時も、まわりの目を気にしなくてはならないのは

もちろん、職場にも密告するものが出現、市民の間にもスパイが入り込む。

 たくさんの人が職を奪われ、拷問され、殺されていった。

 

 そんな中、ホルヘは、政権にすり寄る聖職者と一線を画し

あくまで弱者を擁護する立場を貫いた人だった。

 特に感動的だったのは、立ち退きを迫られた貧民街の場面である。

 

 コンクラーベで選出された時のフランチェスコ、その脳裏を覗くことは

できないが、大げさに喜ぶわけでもなくこれまでを振り返りながら

この瞬間を静かにかみしめていた姿が印象的だった。

 こんな困難な時代を生きてきたからこそ、今の法王の言動があるのだろう。

 

 彼の激動の半生を象徴するようなタンゴを奏でる映画音楽も心惹かれる。

 

 映画で描かれた内容は、事実に基づいて制作されたものなので

フィクションとは異なる。

 因みにこの映画は、イタリア映画でダニエレ・リケッティ監督作品である。

 

 軍事政権が荒れ狂ったのは、1976年から1983年というから

今から30年くらい前にこんなに非人道的な政権が存在していたことにも驚いたが

考えてみれば、隣の国チリも同じころ軍事政権でたくさんの犠牲者を出していた。

 (文学座「谷間の女たち」で描かれていた)

 

久しぶりの演劇鑑賞

 

…ンターへ 劇団昴の「谷間の女たち」を鑑賞に行って参りました。 東横線が渋谷から東京メトロ副都心線東武東上線に繋がっているので、 横浜から池袋まで乗り換えなくても行けることが今回分かりました。 JRの湘南新宿ラインで行くよりもお安く行けるのです。 東池袋といっても、池袋から徒歩10分らしいですが、 有楽町線に乗り換え、一駅乗って東池袋の駅までやってきました。 近頃本当にお上りさんになってしまっています。 地下からはい出てくると、高層ビルの真下に出ます。 見上げると、はるかな高…

 

 いずれも、新自由主義をかかげている国が影のように背後にいることは

予想がつくような気がする。

 

 折しも、共謀罪法案が強行採決され、来月から施行されるという。

 こんな時代が来ないとはだれが断言できるだろうか

 

 (横浜では、今週の金曜日まで、ジャック&ベティで上映中)