ついつい食欲の秋に偏りがちの私ですが、
先々週の日曜日は、六本木の国立新美術館へ秋の公募展へ行き、
先週の水曜日は、東神奈川のかなっくホールへ声楽の発表会へ行き、
今週の日曜日は、演劇鑑賞と、それなりに芸術の秋も堪能しております。
さて、日曜日は、東池袋にある豊島区の舞台芸術交流センターへ
劇団昴の「谷間の女たち」を鑑賞に行って参りました。
東横線が渋谷から東京メトロ副都心線、東武東上線に繋がっているので、
横浜から池袋まで乗り換えなくても行けることが今回分かりました。
JRの湘南新宿ラインで行くよりもお安く行けるのです。
東池袋といっても、池袋から徒歩10分らしいですが、
有楽町線に乗り換え、一駅乗って東池袋の駅までやってきました。
近頃本当にお上りさんになってしまっています。
地下からはい出てくると、高層ビルの真下に出ます。
見上げると、はるかな高みから光が差し込んでいますが、
天国と地獄という構図が浮かび、怖い感じがしました。
1階へ上がると、すぐ隣がライズアリーナビル、目指すセンターのある建物です。
1階には、図書館があって、エレベーターで2階へ上がります。
「あうるすぽっと」という愛称がついた劇場です。
ホワイエは、白が基調のゆったりとした空間でした。
何か「あうるすぽっと」にちなんだものがないかなと思ったら
トイレの表示を加えたフクロウが壁に張り付いていました。
普段人からお誘いでもないと演劇を観に行くことがない私です。
今回は、大学の時の友だちがもうすでに行っていて
「よかったから行ってみて!」とのお勧めがあり、
今回の劇で主役の女性を演じた方を通じて、チケットをとってもらいました。
社会背景は、チリの1970年代。
1970年に世界で初めて選挙でできた社会主義政権だったアジェンデ政権が、
1973年にピノチェト率いる軍事クーデターによって倒され、
たくさんの人々が殺されていき、
闇から闇へと葬り去られたということです。
この時に殺された人の数は、
3万人(政府の公式発表は、3000人だが)、数十万人が強制収容所に入れられ
亡命者は、100万人(人口の10分の⒈)にのぼったということで、
今のシリアを彷彿とさせます。
クーデターの起きた日に、原作を書いたドルフマン
(大統領府の文化政策担当だった)は、大統領府にいなかったため、
殺されることを免れ、オランダへ亡命することになったそうです。
チリで次々に殺されていく同胞のことを自分が語らなければという使命を感じて
書いた作品をもとに描かれた戯曲です。
その貧しい村でも、男はすべて捕らえられ、
死んだのか、未だ生きているのかわからない状態でした。
その妻たちや、母親たちは、毎日を悶々として生きているのす。
ある日、川の上流から顔もわからない状態の男の死体が流れ着いたことが
きっかけで、女たちの生き方が変わっていきます。
かなりシビアな内容であり、骨太の演劇作品で
役者さんは、やく3時間の芝居を終えるとくたくたになるのだはないかと
思える作品でした。
そんなに昔のことではないのにもかかわらず、
忘れてしまっていた自分がおりました。
翌日、勉強し直しました。
日本から最も遠い国でありながら、
チリ地震津波やチリ産ワイン、養殖サーモンと、何かとつながりのある国でもあり、
もっと関心を持っていたいと思わせるきっかけとなりました。