世界谷地原生花園(宮城県栗原市の旅その2)

 朝のうちに蓮舟に乗った後は、宿舎の方にお世話になった挨拶をして駅へと戻りました。駅を挟んで伊豆沼と反対方向にある「世界谷地原生花園」(せかいやちげんせいかえん)へ行こうと思ったからです。まず、前日までの天気で行けるかどうかを確かめるために駅にある案内所へ行って聞いてみました。

 前日まで思っていたほど雨が降ったわけではなかったようで、「行けますよ。」とのこと。

 ナビの設定をどこにしたらいいかということと、お昼を食べられる場所を教えてもらい出発です。西の方へ向かって車を走らせること約1時間、世界谷地原生花園の駐車場へやってきました。道は細いところもありますが、この日はほとんど対向車もなく楽に行くことができました。

 世界谷地原生花園は、栗駒山の麓に広がる湿原で標高700ⅿくらいのところにあります。名前の頭になんで世界がついているのかが不思議でしたが、それくらい広いという意味でつけられたようです。

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 駐車場からしばらくブナの林の中を歩きます。ブナの原生林は、東北といえども少なくなってきているので貴重な森になっているのだそうです。この時間、空が曇ってしまって木漏れ日の輝きがありません。

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 今観察路の木道が設置されているのは二か所。まず、第一湿原へ入ります。

 この湿原は、ニッコウキスゲの大きな群落があるので有名ですが、残念ながらもう茶色い実ができてしまっていて一輪の花も見つけることはできませんでした。

 8月はちょっと寂しい湿原ですが探せば咲いているものです。

サワギキョウ               ミカヅキグサ

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駒ヶ岳にも咲いていたコバギボウシ    赤い木の実(木の名前がわかりません。)

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 右側の雲に隠れた山が栗駒山ですが、この日は姿を現してはくれませんでした。

 だんだんと雲行きが怪しくなってきました。

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 入口に戻って、山道をしばらく行くと第2湿原が始まります。この第二湿原は、10年前に起きた岩手・宮城内陸地震の影響で、木道がくずれたりしたため10年間出入りができなかったのですが、幸運なことに今年やっと整備が終わり入ることができることになったのだそうです。

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 こちらの湿原では、第一じゃ見られなかった花が見られました。

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 遠目からだとまるでアザミの仲間です。でもよく見ると葉っぱが違います。棘のある立派な葉っぱではなく、華奢な葉なのです。これは、タムラソウ。ひときわ鮮やかに見えました。

 こちらは、ミズギクといいます。第一湿原にもありましたが、こちらの方がたくさん咲いていました。茎に白い毛が生えているのがわかるでしょうか。

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 実は、第二湿原を歩いていたら、怪しげな雲からいきなり雨が降りだしました。あわててレインコートを着て傘をさしました。湿原では雨宿りをするところもないので、元来た道を急いで戻りました。

 林に戻るころには雨も止みましたが、この日はやはり不安定な天気だったようです。

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 帰りのブナ林で面白いブナの木を見つけました。1本の木ですが、まるで親しい人同士寄り添っているような姿です。通り過ぎて行く人がいろいろ想像していいるのではないかと思いました。

 ブナの根の保水力というのは素晴らしいものがあり、たくさんの雨が降ってもちゃんと土の中に貯めてくれる貯水タンクの役割を担ってくれるのです。洪水を防ぐためにもこうしたブナの原生林を保護して開発から守ることが今問われているような気がします。

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雨後のタケノコといいますが、雨後のキノコも2本ほどみつけました。

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 駐車場に戻ってくる頃には青空になり、盛岡で見てきた岩手山の姿も北東方向に見えていました。この日、出会った人は2組だけ。静かな散歩ができました。

 お腹もすいたので、教えてもらったところへお昼を食べに行きました。ここから車でほんの3分ほど下ったところです。左に曲がる指示の看板がでていたのですぐにわかりました。

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 ここは、栗駒山の水の恵みを利用して岩魚の養殖を生業にしている食堂です。

 岩魚の塩焼き定食か岩魚丼かということで岩魚丼の方を注文しました。岩魚の味は食べつけないので、よくわかりませんが、なかなか食べることができない珍しい食材をいただけただけでも来た甲斐がありました。

 食べ終わってから庭にある養殖池をみせてもらいました。

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 上の方に小さな岩魚、下の方へ行くにしたがって型が大きいものの水槽になっています。

 小さな岩魚                大きな岩魚

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 夕方5時の新幹線に乗車。無事5泊6日の旅を終えることができました。

 振り返って

 まず、この旅行はJRの切符を取るところから結構ハードでした。8月5日出発の指定券を取るには、1か月前の7月5日にみどりの窓口へ行かなければなりません。これは何とか一度でクリアーできましたが、帰りの指定券は10日発売ですからもう一度みどりの窓口へ行かねばなりません。まして11日からお盆期間の繁忙期ですから、自由席だと疲れていても座席が確保できないなんてことになっても困るわけで、うちを午前6時半に出て午前7時にみどりの窓口が開く前の予約というのを取りました。こうしておくと、みどりの窓口が開く午前10時に並んだ人よりも先に手続きをしてくれるので、取れる確率が高くなるというわけです。3時間くらいモーニングコーヒーを飲みながら時間をつぶします。それでも取れないこともあるようで10時半過ぎてからまたみどりの窓口へ行くと取れているか取れていないかの結果が〇と×で表わされている表を見ます。取れていた場合は再び列に並んでやっと購入できるのです。ふだんこんな繁忙期にチケットを取るようなことがなかったのでたいへん手間がかかることを知りました。

 天気も大事。今回は予報よりは恵まれていい方へ変わったのでよかったですが、最悪毎日雨降りという場合もあるのでそれなりの覚悟が必要です。

 旅は、前と最中と後の3つを含めて旅だと思っているので、今回ブログで後の振り返りができてほっとしているところです。

 先日も友だちに「あなたって旅の話をするときはとても楽しそうだね。」と言われました。そうみたいです。体力がだんだん怪しくなってきているので、どこまでそんなことが許されるのかわかりません。できる間はせいぜい命の洗濯に出かけたいと思っています。

 長い旅記録にお付き合い下さった皆様ありがとうございました。