翌朝、朝日が昇ってきているようすを窓から眺めたが、宿のまわりには雪は降ってなかった。支度を整え出発。
いわかがみ平
ところが、ヘアーピンカーブにさしかかると太陽の熱で溶け始めていたとはいえ、道の両端は雪が降り積もっていたので驚いた。
駐車場に車は何台か停まっていたもののやはりがらがらだった。
まさか雪が積もっているなんて考えもしていなかったので、二人で相談した結果、晴れて見通しが利くところまでは上ってみようということになった。
この辺りは、敷石なのかゴロゴロと石があるので、その石が雪で見えない分滑らないように結構気をつけて歩かなくてはならなかった。
私たちの前にも若い3人組が登って行ったのを見ていたが、登り口の売店も今日は店を閉じているし、周りには誰もいないし、何か事が起きてからでは取り返しがつかない。
それでなくとも2年前の森吉山では私がけがをしているので、連れに迷惑をかけたくない。登り始めは傾斜も緩やかですいすい登れてしまえそうだが、周りの林が切れるところに出ると、風が強いというのも聞いているし、30分ほど登ってどこまで行こうかと迷っていると、日本海側から雲が道を隠し、前が一切見えなくなってきた。
吹雪いてきているので、今日はこれで退散しようということになった。一度上ったことがあれば予想が付くのだろうが、仕方がない。
心の中で秘かにリベンジを誓いつつ、下りてきた。
昨日の夕方見ていたナナカマドの赤い実に雪が被さり、違う景色になっていた。まさかこんな風に劇的に天気が変わるとは思いもしなかった。
本当にびっくりの栗駒山登山となった。一歩足を踏み入れたただけで終わってしまったけれど、「また来なさい」という これも 神のお告げ かな?
駐車場に下りてくると、今度は道路管理の人が、登山道を閉鎖するためにやってきていた。私たちのところに来て、どのくらい登って行ったか聞いてきた。すべての人はわからないけれど、3人組の人と、年配の男性1人の登山者は私たちと同じころ登って行ったことを話した。まだ5台ほど停まっていたので、道路管理の人は、その人たちが下山するまで待っていなくてはならないのだそうだ。
下りていく途中の紅葉。ほとんどがブナの黄色とオレンジ色。
栗駒山の紅葉は、全山こういう光景が拡がるのだろうなとまだ見ぬ景色に心を馳せる。時折山の上から雲がかかって紅葉した木々を覆う。
800ⅿ辺りではブナの紅葉が真っ盛り。
ブナの木の左側だけ雪が張り付いている。この辺りまで吹雪いていたのだろうか。
八幡平にしろ栗駒山にしろ、東北は、10月も下旬になると雪が降るので、道路閉鎖など緊急な日程が上ってくるところなんだなと改めて認識した。
この日は、いつもの伊豆沼のお宿、「ウエットランド交流館」へと向かった。
(つづく)