長野県小川村 その2

 おやき村から下りてきたところに小川村の道の駅がありました。

 レジの女性に宿のお迎えのバスが来ることになっている「高府」の停留所までどのく

らいかかるのか聞いてみたところ、

 登山靴を履いてリュックを背負ったいでたちを見て、

「あなたたちなら10分くらいかな。」

と言うのです。

 それであとちょっとだなと思いながら歩みを進めましたが、農協や小さなマーケット

がある村のメインの通りに入っているのにそのバス停がいっこうに現れません。

 10分はとっくに過ぎているのに‐―。

 一軒だけ開いていた本屋さんに聞くと、すぐそこだと教えてくれたので

ほっとしました。

 日曜日の村のメインストリートは、たまに車が通るだけで人の気配がせず飛び

交うツバメやセキレイの声が聞こえるばかりです。

 

 バス停は、コミュニティセンターの機能も備えた建物が併設され「バスティ高府」と

いうおしゃれな名前がついていました。

 お迎えの車は、電話をすると20分くらいで来てくれました。

 

 高府が海抜500mほど、ここからその日泊まることになっていた「星と緑

のロマン館」(海抜約1000m)まで一気に登っていきます。

 

 天気は良かったのですが、雲も出ていて、午後の日差しが邪魔をして自慢の眺

望は望めませんでしたので、翌朝宿の窓から西の方に北アルプスがずらっと並ぶさまを

見てここへ来てよかったなと思いました。

 

朝の後ろ立山連峰

 南から蓮華岳針ノ木岳爺が岳鹿島槍ヶ岳五竜岳、八方尾根、

白馬槍ヶ岳、白馬岳‐‐‐‐ と続きます。

 ちなみにわれらが泊まった部屋の名前は、「針の木」でした。

 松本の美しが原からも穂高とか槍ヶ岳とか北アルプスが望めますが、ここから見える

のは、後ろ立山連峰だということです。

 憧れの北アルプス、もう逆さまになっても登れないけれど、姿が見られるだけでも心

が高鳴ります。

 

 夜は疲れていて早く寝たので、雨が降っていたところまでは知っていたものの、この

辺り一帯ものすごい雷が鳴り響き、建物が揺れるほどだったということは知らないでよ

く眠っていたということを朝になって宿の人に聞いて驚きました。

 そんなことも知らず、

「虹がかかっていたの、見ました?」

 廊下ですれ違った宿の人に嬉々として話していたので、

この日は、「幸せなおばちゃん3人組」とうわさになっていたのではないでしょうか。