長野県小川村 その3

 

朝9時ごろの北アルプス

 この日も晴天に恵まれました。

 近くの稲丘飯縄山(1203m)に登る予定でしたが、

朝急に予定を変更して山を下ることにしました。

 というのも、この宿にチェックインした時に、5月9日から小川村独自で宿泊応援割

というのを実施しているということを聞いたからです。

 (宿泊は1泊3,000円引き、村内で消費できる消費促進券が1泊につき1,000円つく)

 ただし、宿泊施設では消費促進券を使っての買い物はできない、ネットでは昼もレス

トランで食べられるということでしたが、今はやっていないということが判明し、

昨日の高府まで下りて昼食を取り、ついでにお土産も買うのがベストだということにな

ったからです。ロマン館の周りにはお店は一軒もありません。

 気がついたのが通学用の朝のバスがもう出た後だったので、歩いて下るしかないと

いうことになりました。

 

 中腹にある由緒ありげな寺まで歩いて、そこから11時45分のバスに乗って下れば

いいということになり、足取りも軽く出発しました。

 ちょっと下りたところにも田植えが終わった田んぼがあり、

朝の雲が上がってほぼアルプスの姿が道のどこからでも見えるようになりました。

途中の展望デッキのパノラマ
 

 この展望デッキを過ぎてしばらくすると、寺の塔や屋根瓦が見えてきました。

 

 私たちは、上から下りてきたので、寺の裏にある墓所から入りました。こんなに田舎

なのにとても素敵な寺でした。本堂の天井画の植物の絵を見てひとしきり話がはずむの

ですから。

ひと際目立つ高山寺三重塔

屋根の反りが美しい鐘楼

 

鐘の向こうに北アルプスが見える

 今は、勝手に鐘を突かせてくれる寺が少ないですが、この寺では1回だけ鐘楼に

登って鐘をつくことができました。久々の鐘の音に心が打ち震えました。鐘の音は遠く

に見える北アルプスにも響いていくような気がしたからです。

 

 ところがところがです。鐘の余韻で幸せな気分でしたのに、11時45分のバスが

12時になっても来ません。村役場に電話で問い合わせると、

 「それは昔の時刻表で、今は午後1時15分が次のバスです。」

とのことでした。

 宿の人は、今時バスで来る人が皆無なのかそのあたりの事情も知らなかったみたいで

す。それにしてもあてにしていたものが外れたわけでがっかりでした。

 仕方なく、下まで歩いていくことにしました。

アルプス展望広場サンセットポイント

 また、展望広場がありました。この道は、「小川アルプスライン」と名前がついてい

るだけあって、本当にどこからでもアルプスが見えます。

「成就(じょうじゅ)」という集落のリンゴの実

 リンゴの木が多い集落がありました。宿の人からもリンゴの産地だと聞いていたので

竜が這うような太い木を見て、納得がいきました。もう摘果が終わっていたようで、道

から見える実は、一つがりっぱに育っていました。

上野集落

 だいぶ下ってきました。畑の中にポツンポツンと家が建ち、遠くには松本方向のアル

プスが見えています。小川村はどこを切り取ってものどかな美しい村です。

 

 この村は「日本で最も美しい村」連合に2009年に加盟しているそうです。フランスか

ら始まった運動に範をとり、長い歴史の中で自然と人の営みが作り上げてきたものを未

来につなげていこうとしているのです。

 この連合に加盟していた福島県飯館村にも行ったことがありますが、飯館村も何も

なければ本当にのどかで美しい村だったのに、2011年の原発の被害で全村避難という運

命を背負ってしまいました。

 

 上野集落の診療所前というバス停にそろそろバスが来ることになっていたので、しば

らく待って道の駅まで乗って行きました。

 

 道の駅に併設された「味菜」という食堂で、ミニ海鮮丼とそばのセットを食べ、お土

産の紫花豆や、この辺の西山大豆で作ったテンペなどを買って帰途に着きました。

 疲れましたが、小川村の集落の名前なども覚え、道のどのあたりにゼンマイやタラの

芽が生えているか、どのあたりにクマが出没するかも知ることができて、私にとっては

楽しい遠足だったと思っています。

 

(つづく)