新湯温泉ーくりこま荘へ

 翌朝は、温泉に入るのもいよいよ最後なので、何とか内湯の外の露天風呂へ入ろうと、外へ出た。まだ時折パラパラと雨のような雪のような雨粒が天から降り落ちてきていたが、先客がいたのでほっとして入ってみた。ちょっとぬるめだが、濃いイオウの温泉は温まる。日の出の頃のオレンジ色の空は、もうすでになく一面雲に覆われていた。     

 

 本来2日目はハイキングをする予定だったが、それも叶わず、これはもう一度八幡平へ来るようにと神様からのお告げかなと思って、初夏にドラゴンアイが出現するころに最挑戦しようと思いながら下山した。

 

 

 松川温泉付近の紅葉

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 紅葉真っ盛りな山の木々を眺めながらゲートをくぐるとまもなく松川温泉。ここは、旅館も湯治宿もある。下車したお客さんは、この日はゆっくりと紅葉を愛でながら温泉に浸かることができるのだろう。

 

 盛岡へは11時前に到着。予定よりも一時間早い上りの新幹線に乗れそうなので、レンタカーの時間を早めてもらう連絡を入れて、今日の目的地「くりこま高原」へ向かった。

 

 高校3年の夏の登山教室で登るはずだった「栗駒山」だが、天候が悪いからと中止になった思い出がある。シャクナゲがきれいな山だとの前触れで、楽しみにしていた。

 しばらく忘れていたのに、ここ数年山とは反対側の伊豆沼へ来るようになったために俄かに思い出し、何とか登りたいと思い始めていた。

 シーズンになると、「神々の庭」などと形容され、登山者にとても人気がある山なのである。シーズンは、10月の10日くらいまでということは知っていたが、登山口にあたる「いわかがみ平」の駐車場に入るのが至難の技だと報道されていて、来る決心がつかなかった。

 

 栗駒山へ向かう路線バスは無くて、シーズン中のみに出る臨時バス(土日祝)に乗るか、あとはレンタカー。今回はウイークデーなのでレンタカーを予約しておいた。 

 レンタカーで秋田へ抜ける道を辿り、花山湖の近くにある「自然薯の館」へそばを食べに行った。

 そばの栽培も盛んだが、ここは自然薯が特産なので、自然薯そばを食べる。

 

花山にある「自然薯の館」のそば

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 寄り道をした花山方面から、栗駒山の方へ進む。左手に雪を被った栗駒山が頂上まで姿を見せていた。麓は稲が黄色く色づき首を垂れている。

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 標高600ⅿくらいのところに新湯温泉がある。義経伝説が残る不思議な場所だ。宮城内陸地震が襲ったのはこの辺りで、もう一つある旅館は、日帰り温泉のみになってしまった。

 

 くりこま荘

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 臭いはあまりしないが、成分としてはイオウの温泉だ。湯船は小さいけれど内湯の外にブナ林に囲まれた露天風呂があるのが雰囲気があってすごくいい。ブナ林が黄色くなったらさぞ素敵だろうと思いながら湯に浸かっていた。

 宿にチェックインしてから、いわかがみ平まで車を動かした。この先へはまだ行ったことがないからだ。ここから登山口の「いわかがみ平」まではヘアーピンカーブが続く。夕方なので対向車もめったに来なくて明日も大丈夫だと気が楽になった。

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 駐車場がある「いわかがみ平」は、標高1113ⅿ。宮城県北部から岩手県南部まで見渡せる眺望だ。宿から20分あれば到着できる。

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 ナナカマドの赤い実と寒々しい水色の空とのコントラストが美しい。太平洋側は、よく晴れているが、西の方は低い雲が垂れこめている。明日の天気を祈りながら下山。

 

「くりこま荘」の夕食

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 この辺りは岩魚の養殖が盛んで、以前来た時に「岩魚の館」というところで、名物の岩魚丼を食べたことがある。

 今回気に入ったのは、くしに刺した岩魚の焼き物。こんなに大きいのに、頭から尾っぽまで骨が邪魔することなくバリバリと頂ける。味噌と胡麻がまぶされていて、本当に美味しいと思った。

 それに脂ののったイワナのお造りと卵も出てきた。色がくすんだ緑色で粒が小さかったので、何の卵か聞いたところ、イワナのものだとのこと。この季節にしか食べられない貴重なものだ。

 私の好きなカキフライもあって、本当に満足。イノブタの肉はしゃぶしゃぶで食べたが、びっくりするほど柔らかくてびっくりした。

 繁忙期なので、これでも大満足なのに、1000円宿賃をあげているためか、これに岩魚丼が付いたのだからたいへん。残してはいけないとやっとのことで食べ終えた。私たちには過ぎた量だった。

 

 (つづく)