この記事を書く前に私が初めて来たのはいつだったかブログを検索してみたら、2016
年だということがわかった。毎年足を運んでいるので、今回で6度目の訪問だ。
友人は初めてなので、着いた日の夕方にサンクチュアリセンターへ行った。入口で検
温とアルコール消毒をして記帳をすることになっていたので、友人に代表で書いてもら
った。係の人は、今まで見たことがない方だったが、さっそく説明をして下さった。
私が来ていた時は特別説明をしてもらったことはなかったので、どうしてなのかと思
っていたら、案内をして下さった方は、嘱託の職員さんで、特に遠いところから見学に
来てくれた人には案内をさせてもらっているとのことだった。ここの展示は、子どもで
もわかりやすいように工夫した仕掛けがしてあるので、友人も「面白いね。」と言って
すごく喜んでくれていた。
センターの見学を終えてから、あちこちから戻ってくるマガンたちを見ることにし
た。太陽が西へ傾き辺りがオレンジ色に染まってくると、マガンたちは判を押したように三々五々伊豆沼へ帰ってくる。大きな声で何かを伝えあいながら沼までやってくる
と、片羽を左右交互に素早くたたみながらスピードを殺して着水体制に入る。これを
「落雁」と書いて「おちがん」というんだと6年前に教わった通り友人に説明する自分
がいた。
伊豆沼の夜明け
あくる朝、五時半に起きていつものように獅子が鼻まで、歩いて出かけた。その日
は、ちょうど日曜に当たっていた。カメラマンが大挙して車で来ているだろうと予想を
していたので、歩いて行って正解だった。
マガンを10月に見に来るのは初めて。11月に入ってからでないと数が少ないのかな
と思っていたが、前々日の金曜日の調査では、ちょうど7万羽を越え、迫力のある飛
び立ちを見るには十分の数が飛来していた。
ただ日の出の方向も含めて雲がかかり、霧も出ていて、どうもすっきりとした夜明け
にならない。その代わり、冷たい風も吹いていない。じっと立って観察する身にはあり
がたい気候だ。
1回目の飛び立ち
2回目の飛び立ち
ようやく雲の上まで陽が上り、また飛び立ちがあるかなと予想していると、
3回目の飛び立ち
毎年のことながら、鳥の数と声のドラマは、ここへ来てみないと感じ取ることができ
ないだろうなと思う。他人を連れてきたのは、これで2回目。人それぞれなので、何と
も言えないが、知ってもらえただけで私は嬉しい。
今回は、一人ではないので朝食を用意してもらえたので、帰ってから食堂へ行ってみ
ると、隣の部屋に泊まっている女性が座っていた。お話をしてみると、初めて伊豆沼へ
来たとのこと。愛知県からというから私たちよりも遠くからだ。
6年前、私も一人でここへやってきて宿の方から懇切丁寧に説明してもらい、やはり
千葉から一人で車を運転して来られたという女性に朝と夕方とその車に乗せてもらった
ことを思い出した。
話をしているうちに、愛知県の女性がハクチョウに興味があることがわかった。
隣の内沼ではすぐそばまで近寄ってくるという話をすると、行ってみたいというの
で、一緒に車で内沼まで行くことになった。
その内沼
ハクチョウもかなりの数やってきているのは知っていたが、内沼にいるとは限らない
ので姿が見えた時はほっとした。ここは、新潟県の瓢湖のように組織的に継続してエサ
やりをしているわけではないが、観光客がうちからお米などを持ってきて子どもにエサ
やりをさせているところだ。
後から聞いたのだが、愛知県の彼女はイラスト風な絵を描いてブログにアップしてい
るようなので、きっとこのハクチョウの姿も絵になっているのではないかと思ってい
る。別れる時にメールのアドレスを聞かなかったので、それを見ることができないのは
残念だ。
今年は、灰色の幼鳥がまだここには到着していない。幼鳥を連れた家族は、ちょっと
時間がかかっているのかもしれない。
オナガガモは、毎年ここにやって来ている。特別ハクチョウと仲良しというわけでも
ないのだろうが、毎年不思議だと思っている。こんなふうにすっきりとした羽の模様に
なっているオスは、成熟した成鳥なので、越冬中にお相手を見つけて首をはね上げる求
愛のダンスをするのだろう。
ここから愛知県の方をサンクチュアリセンターへ送り、分かれた。内沼へ連れて行っ
てもらえたのが嬉しかったらしく、何度も何度もお礼を言われ、すごく喜んでくれたの
で私も嬉しかった。
あと何年車に乗れるかわからない。
6年前に受けた親切のお返しができたのはここへ来て初めてで、2021年の伊豆沼は特
別の年になった気がする。